• 3 / 30 ページ

美味しい食事

小学生の時に一番仲のいい友達の家でご飯をご馳走になったことがある。クリームパスタが出てきた。パスタなんて家で食べることがないので、不思議な感覚だった。フォークでくるくる巻いて口に含んだ瞬間、バターの香りが口に広がりとろーりとした濃厚なソースがパスタと絡み、私はその味を深く感じようと息を深く吸い込んだ、美味しい!こんなに美味しい物食べたことない。大袈裟かもしれないが、そのぐらい感動的に美味しかったのだ。
友達のお母さんに作り方を聞いた、こんなに美味しいものなら、作るのが難しいに決まってる、もしくは食材がとんでもなく良いものを使っているのか?

友達の母はバターと牛乳と小麦粉と塩、胡椒で作ったと、その材料でこんな美味しいものが作れるとは、感激した。
デザートにヨーグルトゼリーがでた。それも、感動的においしかった。

あの味を実現しようと家に帰って早速作ってみた。だが、牛乳、バター、小麦粉を入れて加熱しても、あの味にはならなかった。むしろ小麦粉が玉になって粉っぽく、バターのあぶらでぎとぎととても食べれる味ではなかった。なら、母親に頼むしかない!
私はお母さんにクリームパスタ作ってと頼んだ。そしたら市販のホワイトソースをパスタにかけたものが出てきた。
あの味には遠かった。

そもそも母の手料理は料理なのか?それすらもわからなかった。
ただ肉を焼いただけ、市販の物をかけただけ、鍋に具材を入れて茹でただけ。
美味しいとはなんだろう。

そういえば、あの頃の私以外の家族は何食べていたんだろう?

お父さんは何食べていたんだろう
お姉ちゃんは何食べていたんだろう
お母さんは何食べていたんだろう

更新日:2015-08-28 11:57:46

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook