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差し出されたその白い雲に背中を折り曲げて

そっと、口を付けた。



「あっま・・・」


姿勢を戻してからふと目を向けると
アオイの頰は薄っすらと紅潮していて


あ、手でちぎるべきだったのか
なんて思ったりして。



それでも照れ隠しにそっぽを向くアオイが可愛くて

しばらく眺めていたくて



「っえ」



何の迷いも無く
俺の右手がアオイの左手を握った。




きっと

口で溶けた甘さに酔っていた。




真っ白で小さなその手は
少ししてから、戸惑うように俺の右手を握り返した。





更新日:2015-08-27 18:35:07

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