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小説

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嘘に隠して





「あ!わたあめ買ってくる!」


「おー、って
 祭りのわたあめは買わないみたいなこと言ってなかったっけ?去年。」


「違うって。分かってないなー
 ちょっと待ってて!」



そう言うと楽しそうに駆けて行った。


真っ白な花の頭飾りが
右に左に揺れる。



歩み寄ると棒に刺さったわたあめを嬉しそうに受け取ってから
こちらに気付いて微笑んだ。



「棒じゃなきゃ美味しくないじゃん?」


そう言って嬉しそうに口を付ける。



「味なんか変わんねえだろ。こだわるとこおかしいわ。」


「こだわるし!
 なんか持ってるだけで可愛いじゃん?
 だから袋のやつは買わないけど棒のやつは見つけたら買うの。
 おじさんがくるくる回してるの見るのも楽しいし!」


「ガキか。」


「うるさいから!あげないよ?」


「え、ちょーだいよ。」


「・・・・もう」



むすっとした顔で、俺を見上げる。


もう何センチつけただろう。
昔は同じぐらいだったのに。

1年、また1年と繰り返すたびにアオイはどんどん小さく見えて。
俺を見るときの上目遣いは狙ってないとしたってズルい。



暗がりの中屋台の光に所々照らされていて
それが余計に眩しい。


絶対気付いてないだろうな。
俺がこんなこと考えてるなんて。



すれ違う誰よりも可愛いと思ってること。

他愛もない話をして笑い合えるのが嬉しくて堪らないこと。

さっきから何度もその横顔に見惚れていること。




もう何年も前から、アオイしか見えてないこと。




更新日:2015-08-27 18:33:39