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序章 -アルトリア国立勇者育成学校-
「忘れ物は無いー?」
静かな朝の住宅街の一角から女性の声が響く。
「無いよー。行ってきまーす!」
女性の声に答えるように声を放つ少年。
少年が背負う大きな荷物は今日から通うことになるアルトリア国立勇者育成学校の寮生活のための荷物だ。しかし少年の齢にしてはなかなか酷な量だろう。威勢よく家を飛び出した少年だが、ものの数分で足元はフラついていた。
「荷物の重さは・・・夢の大きさ・・・って事にしよう・・・」
少年は自分に言い聞かせながら全力で大通りを駆け抜ける。大通りの露店はどこもまだ準備中で、昼間のような活気はなかった。
「おう、坊主!こんな朝からお使いか?」
大通りを駆ける少年を見かけた青果店の親父さんが朝から威勢の良い声で呼び止める。
「あ、おやっさん!今日から学校なんだよ。」
少年はその声を聞き一瞬止まりはしたものの、その場で足踏みをし、今すぐにでも行きたいというアピールをした。
「ほぅ、もうそんな日か。学科はどうするんだ?」
親父さんは籠から果物や野菜を並べ始めながら聞いた。
「勿論勇者科!俺も父さんみたいに世界各地を駆け回る勇者になるんだ!」
満面の笑みで少年は答えた。真っ直ぐとしたその答えは今どきの子には見られない真剣さが感じられた。
「はっはっは!そりゃ大層なこった!お前みたいなチビ助が親父さんみたいになれるのかぁ?」
大笑いする青果店の親父さん。その言葉にムスっとした少年は言い返した。
「うっ・・・今に見てろよ親父!ぜってー勇者になってやるからな!後で『サインくれ~』なんて言ったって絶対やらないからな!じゃあな!」
少年は足早に駆けて行こうとする。
「あ、ハルトォ!ほれ、これ食ってけ!」
親父さんはハルトと呼ばれた少年に向かって果物を投げ渡した。
「未来の勇者様への先行投資だ!有り難く思えよ!」
そう言って再び青果店の準備に取り掛かった。
「・・・おう!ありがとな!」
大通りを抜けて右手にそびえ立つ巨大な学校。ここがアルトリア国立勇者育成学校である。
「相変わらずいつ見てもでけぇなぁ・・・。」
この学校は魔王を封印した初代勇者の意向の元設立された対魔物討伐集団戦闘技術養成学校で、大きく4つの学科に分かれている。
オールマイティに様々な武器や魔法を扱えるほか、冷静な判断能力や豊富な知識など幅広い技能が求められる「勇者科」。
圧倒的な力を用いて敵を粉砕する攻撃の要となるパーティーに必要不可欠な存在を育て上げる「戦士科」。
自然界に存在する魔力エネルギー「マナ」と体内に存在する魔力エネルギー「アルマ」を自在に操り、様々な魔術を習得し、極める「魔術科」。
遠距離攻撃を主とし、仲間のサポートや諜報活動、暗殺など任務遂行を手助けする「諜報科」。
基本的にこの4つの仲のどれかに学生は皆属している。勿論これだけでは大まかすぎる為、1つの学科の中でも複数の職が用意されており、同じ学科でも職によって学ぶ内容は全く違う。
ハルトは先ほど言った通り勇者科である。父、ケイがこの学校を勇者科で卒業し、今も世界各地で悪と戦っている事に対する尊敬の意と目標としてこの学科を選んだ。
ハルトが一番乗りだったのだろうか、門は鍵こそかかってないものの、しっかりと閉じていた。
大きな鉄製の校門を力いっぱいこじ開けて、足を踏み入れた。
「待ってろよ父さん・・・今日から俺は・・・見習い勇者だ!」
アルトリアの小さな勇者が今立ち上がる。
静かな朝の住宅街の一角から女性の声が響く。
「無いよー。行ってきまーす!」
女性の声に答えるように声を放つ少年。
少年が背負う大きな荷物は今日から通うことになるアルトリア国立勇者育成学校の寮生活のための荷物だ。しかし少年の齢にしてはなかなか酷な量だろう。威勢よく家を飛び出した少年だが、ものの数分で足元はフラついていた。
「荷物の重さは・・・夢の大きさ・・・って事にしよう・・・」
少年は自分に言い聞かせながら全力で大通りを駆け抜ける。大通りの露店はどこもまだ準備中で、昼間のような活気はなかった。
「おう、坊主!こんな朝からお使いか?」
大通りを駆ける少年を見かけた青果店の親父さんが朝から威勢の良い声で呼び止める。
「あ、おやっさん!今日から学校なんだよ。」
少年はその声を聞き一瞬止まりはしたものの、その場で足踏みをし、今すぐにでも行きたいというアピールをした。
「ほぅ、もうそんな日か。学科はどうするんだ?」
親父さんは籠から果物や野菜を並べ始めながら聞いた。
「勿論勇者科!俺も父さんみたいに世界各地を駆け回る勇者になるんだ!」
満面の笑みで少年は答えた。真っ直ぐとしたその答えは今どきの子には見られない真剣さが感じられた。
「はっはっは!そりゃ大層なこった!お前みたいなチビ助が親父さんみたいになれるのかぁ?」
大笑いする青果店の親父さん。その言葉にムスっとした少年は言い返した。
「うっ・・・今に見てろよ親父!ぜってー勇者になってやるからな!後で『サインくれ~』なんて言ったって絶対やらないからな!じゃあな!」
少年は足早に駆けて行こうとする。
「あ、ハルトォ!ほれ、これ食ってけ!」
親父さんはハルトと呼ばれた少年に向かって果物を投げ渡した。
「未来の勇者様への先行投資だ!有り難く思えよ!」
そう言って再び青果店の準備に取り掛かった。
「・・・おう!ありがとな!」
大通りを抜けて右手にそびえ立つ巨大な学校。ここがアルトリア国立勇者育成学校である。
「相変わらずいつ見てもでけぇなぁ・・・。」
この学校は魔王を封印した初代勇者の意向の元設立された対魔物討伐集団戦闘技術養成学校で、大きく4つの学科に分かれている。
オールマイティに様々な武器や魔法を扱えるほか、冷静な判断能力や豊富な知識など幅広い技能が求められる「勇者科」。
圧倒的な力を用いて敵を粉砕する攻撃の要となるパーティーに必要不可欠な存在を育て上げる「戦士科」。
自然界に存在する魔力エネルギー「マナ」と体内に存在する魔力エネルギー「アルマ」を自在に操り、様々な魔術を習得し、極める「魔術科」。
遠距離攻撃を主とし、仲間のサポートや諜報活動、暗殺など任務遂行を手助けする「諜報科」。
基本的にこの4つの仲のどれかに学生は皆属している。勿論これだけでは大まかすぎる為、1つの学科の中でも複数の職が用意されており、同じ学科でも職によって学ぶ内容は全く違う。
ハルトは先ほど言った通り勇者科である。父、ケイがこの学校を勇者科で卒業し、今も世界各地で悪と戦っている事に対する尊敬の意と目標としてこの学科を選んだ。
ハルトが一番乗りだったのだろうか、門は鍵こそかかってないものの、しっかりと閉じていた。
大きな鉄製の校門を力いっぱいこじ開けて、足を踏み入れた。
「待ってろよ父さん・・・今日から俺は・・・見習い勇者だ!」
アルトリアの小さな勇者が今立ち上がる。
更新日:2015-11-12 22:02:31