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君の居場所 【中学生の彼女と大人の彼】シリーズ

工藤新一は京都駅の構内で服部平次と落ち合うと、
じっくり話をするために近くのカフェに入ることにした。

駅に現れた新一は目深にハンチングキャップをかぶり、
江戸川コナンを彷彿させる黒い縁のメガネをかけて、
どこか大人し気で冴えない青年に変装していた。

新一はかつて高校生探偵としてマスコミに持て囃されていた時期もあったが、
探偵と俳優では世間の関心度が段違いに違う。

最近の新一は高視聴率の連続ドラマにも出ているせいか素顔で街を歩けば、
すぐに誰かに声をかけられ、時には無断で写真を撮られたりすることもある。

そんな煩わしさを遠ざけるためにプライベートで出かける時には、
たいていサングラスか黒縁メガネを愛用していた。

たかがメガネくらいの変装でと思われるが、これがなかなか侮れない。
メガネをかけたり、髪型一つ変えただけでも……
俳優・工藤新一本人だとは意外と気づかれなかった。

いつもと違って堅物そうでちょっと垢抜けない風貌の新一をみながら、
小細工一つでもたいそう印象が変わるもんやなと服部は懐かし気に目を細める。

「なんや、お前がそのメガネかけとると、あの生意気なボウズのことを思い出すな。
蝶ネクタイしたボウズがそのまんま大人になったみたいやないか」

「バーロー、服部、当たりめーだろう。
江戸川コナンは俺だったんだから……」

「せやけど、工藤……なんで俳優なんかやってんねん!
毛利のねえちゃんに義理立てして探偵まで辞めることはなかったやろ」

「そんなんじゃねーよ、蘭はもう関係ねーって……。
それに服部、別に俺は探偵を辞めたつもりはないぜ。
昔のように事件ばかり夢中になって追いかけるわけにはいかねーけどさ。
まあ、役者もやってみると結構面白かったんだよ」

服部はそれが本心なのかと探るような目で新一をじっと見ている。

「俺かて和葉に散々寂しい思いはさせとるけどな」
「服部、オメー、よく和葉ちゃんに愛想つかれねーよな」

新一が少しばかり揶揄したように笑う。

「そら、決まっとるやろ。俺は工藤とちごうて和葉ひと筋やからや。
お前は他のねえちゃんにちょっかい出しすぎやねん!
せやから、ちっちゃいねえちゃんにも逃げられるんやで」

「おいおい、まだ哀に逃げられたわけじゃねーよ。
服部、あの記事はウソだと話したじゃねーか……。
俺も今は哀だけだって……」

有希子にしろ、服部にしても過去に新一の乱れた女関係を目の当たりにしているせいか、
必死に記事の捏造を訴えてるのだが、新一の言葉にいまいち信用がなかった。

更新日:2017-08-16 22:26:42

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秘密のふたり シリーズ1 【コナンで新一×哀】