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「さて、五番のビルダーですが、どうでしょうか、中西さん。は!は!はうううっ!な、中西さんが、あ!あの、ボディビル大会前人未到の七連覇を達成した、強き男、いや、強き漢が、泣いている!」
「五番のビルダーの筋肉は、悲しい筋肉なのです。彼は、“横の人が、ちょっと腕を上げただけで殴られると思ってめっちゃのけぞるやつ”を見るたびに筋トレしてきたのです。彼の筋肉は、悲しい筋肉なのです」
「それは、悲しいですね。うっ(泣)うっ(泣)」
「彼の筋肉は、ちょっと腕を上げただけで、殴られると思ってめっちゃのけぞる奴がたくさんいる証。悲しい筋肉なのです(泣)」



わぁーっ!わぁーっ!彼こそ!彼こそ優勝すべきだーっ!悲しい!悲しいーっ!

切れてる切れてるーっ!

ざわざわ


ざわわ


「さて、続いて六番のビルダーの筋肉ですが、どうでしょうか?」
「うっ、うっ(泣)。六番のビルダーの筋肉は、悲しい筋肉なのです。彼は、地球にそっくりな見た目の星が発見されて、その星が、全然人類が住めないような灼熱の星であることがわかるたんびに、筋トレをしてきたのです」
「なんでなん?」
「なにがやねん」
「なんでなん?って聞いとんねん」
「は?だから、なにがやねんって言うとんねん」
「だから、地球そっくりな見た目の星が、住めない星やってわかったらなんで筋トレするねんって」
「知らんがな、そんなもん。アホみたいな顔しやがって。アホみたいな。知性の無さがにじみ出てるような顔しやがって」




わぁーっ!わぁーっ!いいぞーっ!いいぞーっ!また別の星を探せばいいぞーっ!


わぁーっ!わぁーっ!ざわざわ!ざわざわ!


いいぞーっ!いいぞーっ!いいぞーっ!



「さて、中西さん、七番のビルダーは、どうでしょう…あ!倒れてます!七番のビルダーが倒れてます!」
「うっ(泣)うっ(泣)。死んでいるのです。七番のビルダーは、つい五秒ほど前に、心臓発作で倒れたのです。悲しい筋肉なのです」
「うっ(泣)うっ(泣)。悲しいです。人が死ぬのは悲しいです。ちなみに、彼の筋肉は、どうやって作り上げられた筋肉なのですか?」
「彼は、恋人が嘘をつくたびに筋トレしてきたのです。彼の筋肉は、恋人に嘘をたくさんつかれた証。悲しい筋肉なのです」



わぁーっ!あはーはーん!悲しいーっ!かわいそうーっ!優勝すべきだった選手だーっ!

死んでるけど、筋肉、切れてる切れてるーっ!


「中西さん、あの、わたくしからお願いなんですが、七番のビルダー、優勝にしませんか?」
「は?」
「ほら、あるやん。名誉の殉職を遂げた警察官が、亡くなってから一回級特進する、みたいな。寄贈、的なやつ。死んだからあいつ優勝でええやん」
「このあと、どないすんねん。そんなもん」
「準優勝を決めたらええがな」
「ほな、そうしよか?別に俺はええけど」
「あっ、そんなことを言ってる間に八番のビルダーも死んでます!はい、二番煎じーっ!もうダメーっ!おい、六番!そこに転がってる七番と八番を片付けろ!目障りや!」




わぁーっ!わぁーっ!いいぞーっ!いいぞーっ!片付けろーっ!



ビートルズはまだかーっ!前座のボディビル大会が長いぞーっ!

ビートルズ、切れてる切れてるーっ!

ざわざわ。ざわざわ。

更新日:2015-07-26 17:21:37

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