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八月 工藤一家の二年目の夏休み Part 2
「志保、驚いたか?」
「ええ……でも、なんで、服部君が……」
「あのな、昨日、服部から電話があったんだよ。
夏休みが取れたからさ、うちへ来たいって……。
それなら、俺たち海へ行くけど、服部も来ねぇかと誘ったんだ」
新一たち一家は昨日の夕方には、
今年購入したばかりの真新しい別荘に到着していた。
といっても、別荘を買ったのは新一の両親だったが……。
昨年の夏は阿笠博士を加えた工藤一家勢ぞろいで、
山あいにある工藤家の別荘で夏休みを過ごした。
そして、その際に優作と有希子はこっそり来年の夏休みは海で過ごそうと、
アイリとコナンに約束していたらしい。
そこで、今年の三月に新一の両親が日本に帰国した際に、
この海辺に近い場所に新たに別荘を購入したのだ。
しかしながら、孫たちと海で過ごすのを楽しみにしていた当の本人たちは、
『ミステリー作家・工藤優作が北欧の神話の謎に迫る!』
という雑誌の企画で北ヨーロッパを旅することとなり、
今年の夏は日本へ帰ることができないとのこと。
『新ちゃん、私だけでも帰ろうと思ったのよ。
でも、向こうで歓迎パーティーがあるから、奥さんも同行して下さいって、
編集長直々に頼まれてしまったんですもの。
せっかくアイリとコナンと新しい別荘で過ごすのを楽しみにしていたのに……。
あーん、もう、ガッカリしちゃったわ』
「母さん、アイリもコナンも……
『おじいちゃんとおばあちゃんは来ないの?』って寂しがってたよ」
『ちょっと新ちゃん!
私はおばあちゃんなんて呼ばせた覚えはないわよ』
「ハハハッ、そうだっけか……」
相変わらず有希子は孫たちに絶対に『おばあちゃん』とは呼ばせない。
「でも、来年も夏休みはあるんだしさ……。
じゃ、母さん、俺たち、勝手に使わせもらうからな」
『どうぞ、いつでも好きに使っていいわよ。
貴方たちのために買ったようなものだもの』
新一は電話の向こうでわずかに苦笑する。
「ええ……でも、なんで、服部君が……」
「あのな、昨日、服部から電話があったんだよ。
夏休みが取れたからさ、うちへ来たいって……。
それなら、俺たち海へ行くけど、服部も来ねぇかと誘ったんだ」
新一たち一家は昨日の夕方には、
今年購入したばかりの真新しい別荘に到着していた。
といっても、別荘を買ったのは新一の両親だったが……。
昨年の夏は阿笠博士を加えた工藤一家勢ぞろいで、
山あいにある工藤家の別荘で夏休みを過ごした。
そして、その際に優作と有希子はこっそり来年の夏休みは海で過ごそうと、
アイリとコナンに約束していたらしい。
そこで、今年の三月に新一の両親が日本に帰国した際に、
この海辺に近い場所に新たに別荘を購入したのだ。
しかしながら、孫たちと海で過ごすのを楽しみにしていた当の本人たちは、
『ミステリー作家・工藤優作が北欧の神話の謎に迫る!』
という雑誌の企画で北ヨーロッパを旅することとなり、
今年の夏は日本へ帰ることができないとのこと。
『新ちゃん、私だけでも帰ろうと思ったのよ。
でも、向こうで歓迎パーティーがあるから、奥さんも同行して下さいって、
編集長直々に頼まれてしまったんですもの。
せっかくアイリとコナンと新しい別荘で過ごすのを楽しみにしていたのに……。
あーん、もう、ガッカリしちゃったわ』
「母さん、アイリもコナンも……
『おじいちゃんとおばあちゃんは来ないの?』って寂しがってたよ」
『ちょっと新ちゃん!
私はおばあちゃんなんて呼ばせた覚えはないわよ』
「ハハハッ、そうだっけか……」
相変わらず有希子は孫たちに絶対に『おばあちゃん』とは呼ばせない。
「でも、来年も夏休みはあるんだしさ……。
じゃ、母さん、俺たち、勝手に使わせもらうからな」
『どうぞ、いつでも好きに使っていいわよ。
貴方たちのために買ったようなものだもの』
新一は電話の向こうでわずかに苦笑する。
更新日:2019-03-15 23:41:50