「ただいまー！」

玄関から聞こえてきた宮野志保の声に子供たちが大喜びで、
ママの元へとダッシュしてくる。

まず初めにアイリがママの足に抱きついた。

「ママ、おかえりー！」

志保は腰を落としてしゃがむと、アイリを抱きしめる。

「アイリ、ただいま……お留守番ありがとう」

遅れてやってきたコナンがアイリを抱きしめる志保の肩に手をかけて、
小さな身体で背中に飛びついた。

「マーマ、だっこ！」

早速、コナンは大好きなママに甘え出す。
志保はコナンを抱きあげると、幼い息子に優しく語りかけた。

「ただいま、コナン……今日は大人しくいい子にしてたかしら？」

コナンは返事の代わりにママの首にギュッとしがみついて、
志保の首元に顔を埋めた。

「ううん、いい子にしてないよー！」

代わりにアイリが元気な声で答える。

「あのね、ママ……コナンね、またパパの物をイタズラして、
パパに怒られたんだよ。いっぱい泣いたの」

アイリが留守の間に家であったことを志保に一生懸命に報告してくれる。

「あらあら、コナン、またやったのね。いけない子ね」

コナンはただいま二歳四か月。
日を追うごとにやんちゃぶりが増している。
家にある物は彼にとっては何でもおもちゃ。

だから、新一も志保も大事な物や危険な物はなるべくコナンの手の届かないところに、
片付けるようにはしているのだが……。

コナンはまだ二歳にして観察力も鋭く、かなり知恵も回るようで、
大事な物など隠してもすぐに見つけてきては、おもちゃにして遊んでいる。