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七月 工藤一家の七夕 前編

工藤新一と工藤志保こと旧姓・宮野志保が二人の子供たちを連れて、
アメリカのロサンゼルスから米花町に帰ってきて、すでに三か月が過ぎていた。

ようやく子供たちも日本の生活に慣れてきたようで、
毎日、元気いっぱいに工藤邸や阿笠博士の家の中を走り回っている。

志保は四月から大学生となり、東都大学の医学部に通い始めた。
最初はLAにいた時と違ってママが家にずっといなくて子供たちは淋しかったようだが、
代わりに新一が家にいる時間が増えたので、パパ大好きなアイリは大喜び。

不慣れな家事に悪戦苦闘する新一を何とかアイリはお手伝いをしようと頑張っている。

そんな新一はというと────これから探偵業を営む手始めとして、
まずネットで『工藤新一探偵事務所』のサイトを立ち上げた。

そして、サイトを通じてきた依頼から興味深い案件や事件を吟味して選ぶと、
依頼者と直接に面談して依頼を受けるかどうか、報酬などもその場で話し合って決める形式で、
探偵の仕事を請け負うことにした。

高校生探偵として有名だった工藤新一の名は今でも健在らしく、
サイトを立ち上げた当初から依頼が殺到。

しかし、当時と違って事件と聞けば、すべてを投げ出してしまうような無鉄砲さは、
さすがの新一にもなくなった。

決して家庭的なタイプとは言えないが、
それでも家族を守るのは自分だという自覚だけは持っている。

探偵をやっていく以上は犯罪者と関わることも少なくない。

それは仕方がないとしても……
できる限り、愛する志保と二人の子供を巻き込むことは避けたかった。
そうした思いもあって、依頼に関しては新一もかなり慎重に選んでいる。

時には警視庁の昔馴染みの刑事からも応援要請があり、報酬は微々たるものだが、
警察に協力することも多かった。

更新日:2017-12-08 21:41:36

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未熟なふたり ~ 帰ってきた羊たち 【コナンで新一×志保】