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月の雫2


「良いじゃないか

今更お高く止まるなよ」


「俺にもその気になれない時だってあるんだよ」



覚えたての行為に夢中になる腐った輩が

しつこく俺に付き纏う



最初は無理やりだった・・・

でもこいつがいれば他のヤツは回避できたし

好奇心とガス抜きもあって

何となくそんな関係を続けていた



それでも

俺は別に付き合っているつもりもなくて

何度か俺を抱いただけで

俺をまるで所有物の様に扱うそいつにはもうウンザリしていた



「それに・・・俺、別にお前のコトなんて何とも思ってないし・・・

何かと恋人ヅラするのやめろよな」


「・・・甘い顔してれば、付け上がりやがって・・・!」



こんなヤツ、いつもならもっと巧くあしらえたハズなのに

その日俺は来る予定だったあなたが来ない上に

俺と同じ立場にあなたもなる可能性が

ゼロではない事に気付いて俺は酷くイラついていた



それでもそいつを怒らせてしまったのは俺のミス・・・

俺は人気のない場所に無理やり連れ込まれて

アブナイ奴らに取り囲まれてしまった



一人じゃ何もできない

ホントに何処までも卑怯で腐った奴ら・・・

もう抵抗する気力も体力も俺にはなかった



抑え込まれてしまえば

抵抗しても無駄な事が解っているから

抵抗しないで静かにヤラせてやるのが一番良い

その方が早く終わるし怪我もしない・・・

俺は冷静にそう判断して覚悟を決めた



なのに・・・



「ニノを放せ!」


「え?」


「ニノ!! 逃げろ!」



偶然俺が連れ去られる場面を目撃したあなたは

単身で乗り込んできて

俺を逃がそうと必死で奴らに立ち向かう



「大野さん・・・?」


「早く!!」


「ダメだ・・・!

いくらあなたの動きが素早くても敵わない

こんなトコにあなたが来ても奴らが喜ぶだけ

俺の事はイイから逃げて・・・!」



「ニノ・・・!

あっ・・・!」



案の定あっという間にあなたは奴らに抑え込まれてしまう

そして・・・



「俺を好きにしていいから・・・だからニノを逃がして・・・!

今後一切ニノには手を出すな!」


「・・・いいだろう・・・」



厭らしく笑う貌に虫唾が走る

こんな奴の言う事なんか信用できるもんか!

2人ともヤラれて今後も付き纏われるのが関の山だ



「ダメだ! 大野さん! 逃げて!!」


「これからお前は俺のモノだ・・・」



奴があなたに口づける



目の前が

真っ暗になった・・・



俺を助ける為に

あなたがそんな男に身を任せるなんて・・・



俺はそんな事望んではいないのに!

あなたをそんな目に遭わせる位なら

俺がどんな仕打ちでもこの身に受けてみせるのに!!



「やめろぉー!!」











更新日:2015-07-10 20:43:01

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