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異食行動

不思議な事が沢山おきました。食べ方も忘れてしまうんです。
お箸はちゃんと持てて、自分で食事をする事が出来るのですが、食べ方が解らなくなってしまうのです。
それが子供なら、誰かの真似をしたり、周りの人に訊いたりしますが、そんな事もせず、私達を驚かせてくれます。
大根おろしにマヨネーズをかけて食べたり、そうめんつゆを一気飲みしたり、小皿に味噌汁の具を取り出して食べたり、味噌汁にお魚を放り込んだり・・・。
調子よく食べてるな~と安心し、次にじいちゃんのお茶碗を見ると、白いごはんの上に、入れ歯をトッピングしてあった事もあります。
(いやぁ~、それは色んな面で食べ辛いやろ(・.・;)
・・・まぁ、それらは食べられる物のお話ですので(入れ歯は別ですが)見て見ぬふりも、笑って済ます事もできますが、食べ物でない物を口に入れてしまうこともありました。
ポリデント(そうです。あのラムネに似た錠剤)を舌の上で溶かしているのに気付いて、「ベーっとして!!」と叫ぶ事になったり。
枕のカバーを取り外し、本体のファスナーを開け、中に入っているプラスティックの粒をブチ撒きながらクチャクチャと噛んでいたり。
ご飯に、アロエクリームを岩海苔のようにトッピングしてみたり。
本当に想像を超えます。
はるかに超えて行きます。
それから、ドッグフードを押入れから探し出し、これまたブチ撒きなら“あられ”のように食べていた事もあります。
もう、見つけてびっくりしました。
左手に山盛りのドッグフードを載せ、右手でつまんでポリポリと食べているのですよ!
その横で必死で拾い喰いしている愛犬は大喜びです。棚からぼた餅です。じいちゃんからドッグフードです。
「じいちゃん、ブチ撒いてくれてありがとう!食べたい放題やん!」
と目をキラキラさせておりました。

 異食が始まると、それまでに起きていた過食なんて、至って健康的な行動に思えます。

 何が何やら解らなくなっても、やっぱり、食べる事が楽しみなんですね。
食べ物を探してウロウロする事が多くなりました。
仏壇に供えてあるお菓子を、こっそり自分の部屋に持って入って食べようとするのですが、袋がなかなか開けられなくて・・・。
今度は、袋をどうにかして開けようとウロウロします。
私に見つからないように、こっそりと・・・。
そういう知恵は回るんですね。本当に不思議です。

 女の子の節句で、お雛様に雛あられを供えてありました。
ガサガサと音がするので、覗いてみますと、じいちゃんが雛あられを隠すように持って、部屋に帰って行くのが見えました。
「じいちゃん。これは、お雛様のお菓子やから、もうちょっとあそこに置いとこうな」
『う、うん』
じいちゃんから雛あられを返してもらい、お雛様にお供えしました。
暫くしますと、またガサガサと聞こえます。
「じいちゃん。お雛様がまだ食べてないから、ひな祭りが済んでから食べような」
『う、う、うん』
(どうしたらいいかな~。じいちゃん雛あられが気になってしゃあないねんな~)
とか考えながら台所仕事をしていますと、またまたガサガサと聞こえます。
覗いてみると、じいちゃんが、雛あられの袋を何とか開けようとしていて、私と目が合うと・・・。
『こ、これは、いくらですか???』
と尋ねてきました。
(えーーーーっと???)
駄菓子屋のおばちゃんに間違われてます!?

 どうぞ、お食べ下さい。


更新日:2015-07-16 00:01:20

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