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現実と幻覚の間
幻覚は初期の頃からあったようです。
義父は、2007年の4月にアルツハイマーと診断されましたが、その頃にはもう「後ろから誰かがついてくるけど、振り返っても誰もいない」と、こぼしておりました。
その後、「あー、鳥を部屋中に放したから、うるさかったわー」とか、「犬の赤ちゃんがこの下に入っていってなー」と、色んな物が見えていたようです。
だんだんと言葉数が減って、あまり聞けなくなりましたが、病院の廊下などでは、何もない平坦なところをピョーンっと飛び越えたりします。
一見、陽気なおじいさんです。てくてく、ピョーン、てくてくてく、ピョーンです。
何回二度見した事か。
それに、しょっちゅう空気の糸を手繰り寄せ(私達には見えない)糸の束を、グルグルと作っていました。
糸巻き巻き♪糸巻き巻き♪歩いて歩いてぴょんぴょんぴょ~んっです。
そして、出来上がった(たぶん)糸の束を、大事そうにいつまでも手のひらにのせています。
両手に持っていて、他の事が出来なくなっている時は、
「預かっとこうか」
と手を出して、綺麗に巻き上がった糸の束を(みえましぇーん)を預かっておきます。
預かると、私も暫くは、手にのせているような感覚になってしまいます。
いやっ!!何も持ってませんから~(>_<)
アルツハイマーと言う病名は知らなかったにしても、何だかおかしいなぁ~と、義父も感じていたのだと思います。
一番最初に受診を勧めたとき、
「じいちゃんも自分の体の事心配やろ?」
と言うと、
「・・うん。最近何かおかしいねん」
と言っていました。
後頭部が、モヤモヤした感じとか、痛いとも言っていました。
診断が下りて、半年後くらいの受診の際、主治医の先生の、
「体の調子はどうですか?」
の質問に、
「最近ボーっとします」と答えていました。
今思えば、質問に対してちゃんと答えになっている事が、すごいと感じます。
でも、その頃がじいちゃんにとって、一番辛い時期だったのではないでしょうか。
(自分はいったいどうなってしまうのだろう)
と、言いようの無い不安に襲われていたのかも知れません。
今は、「アルツハマー型認知症」が周知されて、自身の症状を心配して
自ら受診される人も増えています。
それのみならず、アルツハイマーと言う診断結果を、家族と共に本人も聴き、そしてその現実を受け容れ、前向きに毎日を過ごしておられる方もあります。
どんな病気で、どんな症状が起こり得るか知った上で、記憶が薄れていく毎日を、どんな思いで過ごしておられるのか。。。苦しすぎます。
家族の方にとっても、大切な人が自分を忘れてしまう日がくるなんて、想像できないだろうし、したくない事でしょう。
それでも、突きつけられた現実と向き合って、時には背中を向けて、隙間に見える笑顔を、きっと、探しています。
患者さんも家族の方にも、今日の日記に、ただひとつでも嬉しかったことがありますように。
義父は、2007年の4月にアルツハイマーと診断されましたが、その頃にはもう「後ろから誰かがついてくるけど、振り返っても誰もいない」と、こぼしておりました。
その後、「あー、鳥を部屋中に放したから、うるさかったわー」とか、「犬の赤ちゃんがこの下に入っていってなー」と、色んな物が見えていたようです。
だんだんと言葉数が減って、あまり聞けなくなりましたが、病院の廊下などでは、何もない平坦なところをピョーンっと飛び越えたりします。
一見、陽気なおじいさんです。てくてく、ピョーン、てくてくてく、ピョーンです。
何回二度見した事か。
それに、しょっちゅう空気の糸を手繰り寄せ(私達には見えない)糸の束を、グルグルと作っていました。
糸巻き巻き♪糸巻き巻き♪歩いて歩いてぴょんぴょんぴょ~んっです。
そして、出来上がった(たぶん)糸の束を、大事そうにいつまでも手のひらにのせています。
両手に持っていて、他の事が出来なくなっている時は、
「預かっとこうか」
と手を出して、綺麗に巻き上がった糸の束を(みえましぇーん)を預かっておきます。
預かると、私も暫くは、手にのせているような感覚になってしまいます。
いやっ!!何も持ってませんから~(>_<)
アルツハイマーと言う病名は知らなかったにしても、何だかおかしいなぁ~と、義父も感じていたのだと思います。
一番最初に受診を勧めたとき、
「じいちゃんも自分の体の事心配やろ?」
と言うと、
「・・うん。最近何かおかしいねん」
と言っていました。
後頭部が、モヤモヤした感じとか、痛いとも言っていました。
診断が下りて、半年後くらいの受診の際、主治医の先生の、
「体の調子はどうですか?」
の質問に、
「最近ボーっとします」と答えていました。
今思えば、質問に対してちゃんと答えになっている事が、すごいと感じます。
でも、その頃がじいちゃんにとって、一番辛い時期だったのではないでしょうか。
(自分はいったいどうなってしまうのだろう)
と、言いようの無い不安に襲われていたのかも知れません。
今は、「アルツハマー型認知症」が周知されて、自身の症状を心配して
自ら受診される人も増えています。
それのみならず、アルツハイマーと言う診断結果を、家族と共に本人も聴き、そしてその現実を受け容れ、前向きに毎日を過ごしておられる方もあります。
どんな病気で、どんな症状が起こり得るか知った上で、記憶が薄れていく毎日を、どんな思いで過ごしておられるのか。。。苦しすぎます。
家族の方にとっても、大切な人が自分を忘れてしまう日がくるなんて、想像できないだろうし、したくない事でしょう。
それでも、突きつけられた現実と向き合って、時には背中を向けて、隙間に見える笑顔を、きっと、探しています。
患者さんも家族の方にも、今日の日記に、ただひとつでも嬉しかったことがありますように。
更新日:2015-08-31 13:54:37