アルツハイマーと診断が下りて1年くらいの頃には、まだ会話が成り立っていたんです。
まだまだできる事も沢山あったし。
出来たり出来なかったりなので、こちらとしては、「はー！？何やっとんねん！！」と腹がたったりして。
職場の人に相談すると「女優になったらいいらしいよ」と、アドバイスをくれましたが、私には無理な日の方が多かったかな～。

　この頃、身内で不幸事があり、通夜・葬儀に参列しました。
ネクタイの締め方とかが分からなかったけど、見た目も元気そうで、まさかアルツハイマーとは思わないくらいの状態でした。
それが、なんとお焼香の時、モクモクと煙が出ている熱っつい方からお香をつまもうとしたんです。
隣に付いていた主人が、寸前で手を掴んでセーフでした。
傍から見れば普通の元気なおじいさんだったのでしょうが、1000円持って700円の買い物をしました。おつりはいくらですか？の質問に「3000円」と答え。
100円持って70円の買い物をしました。おつりはいくらですか？の質問に「60円」と答えた頃の出来事です。

　今思えば、結構早い段階から、おかしな行動があったんです。

　義父がお風呂から上がってから暫くして脱衣所に行くと、脱いだはずの洗濯物がありません。入る時に渡しておいた着替えの一式もありません。
洗濯機にも入ってないし、直接尋ねようと、義父の部屋を開けて驚きました。
「シャッキーンッ！！ 」
「〇〇マン、只今参上！」てな事になっていました。
パジャマのズボンの上にパンツの重ね履きです。
キレイなステテコ⇒キレイなパンツ⇒汚れたステテコ⇒パジャマ⇒汚れたパンツ、の順に重ね履きをしておりました。
パジャマの上にパンツですよ。
あちこち窮屈にシワシワになっていて、見るからに弱そうな、昔のヒーローみたいになっておりました。
　
重ね履きマン　只今参上！

えーっとこれは、何といたしましょう。
あっ！！こう言う時こそ、私は女優になるんですか？
「きゃー！助けて！重ね履きマン！」

この時の私には、まだできませんでした(；一_一)