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ゆっくりと始まる認知症状
同居の義父がアルツハイマーと診断されてから、もう随分経ちました。
「バカにしてんのか」と叫びたくなった日。
車の窓を全開で「ええ加減にしてくれ!」と叫びながら運転した日。
情けなくて勝手に涙が出た日。
旦那と大声でケンカした日。
頭に血が上って殴りそうになった日。
このまま放っておこうかと介護放棄をしそうになった日。
それはそれは、我が家独特の苦悩がありました。
日記を読み返すたびに、「よくやったよな~」とつくづく思います。
現在、義父は75歳。
四季折々の花を咲かせて楽しませてくれる広い庭のある特別養護老人ホームでお世話になっています。
ココでお世話になる前から、私達の事はわからなくなっていました。
今では、あんなに元気に歩き回っていた足も硬縮してしまい、会いに行っても、いつも、うつらうつら眠っています。
じいちゃんの頭の中で何が起こっているのでしょう。
いつ頃まで、記憶とか感情とか残っていたのでしょう。
思うようにいかず、騒いでいる私達の事をどう思っていたのでしょう。
話し上手ではなかった義父だから、感情を言葉に出さなかっただけで、もしかしたら、言いたかった事や伝えたかった事が沢山あったのではないだろうか。
会話ができなくなった今更、そんな事を思います。
初めの頃は、小さな「あれ?」大きな「あれ?」がありました。
ある日の夕食の事。
すき焼き鍋を囲んで「いただきま~す」。
みんなの卵をほぐす小気味良い音の中に、ひとつ・・・「ズズズ~ッ」
と種類の違う音。
(あれ?)
じいちゃんが生卵を丸呑みしていたのです。
「どうせお腹の中で混ざるのだから!」・・とでも?
それとも、「脂っこい物を食べる前に、胃袋を保護しておこう!」・・とでも?
食事の仕方がわからなくなったのは、結構初期の頃からです。
頻尿が気になるので、泌尿器科を受診した事がありました。
「まず、おしっこをこのコップに採って来て下さい」
と、渡された紙コップを持ってトイレへ行ったものの、なかなか出てこないじいちゃん。
心配になり男子トイレに様子を見に行くと、掃除用のゴム手袋をはめたじいちゃんが呆然として立っていました。
「検尿であろうと、美しい便器で成し遂げたい」・・とでも?
そんなはずもなく、何をしにココに来たのか、分からなくなったんでしょうね。
わたしの説明に「う、う、うん」と自分を繕い動揺を悟られないようにしていたように思います。
毎日毎日寝てばかりになっていました。
お風呂に入るのも億劫なようで、声をかけないと入らなくなりました。
入ってもすぐに出てくるので、ちゃんと入れてるのかな~と心配になり、脱衣所で耳を澄ませておりますと、
「シュッシュッシュッ」と聞こえてくるではありませんか!
(あれ?)
「じいちゃーん」と声をかけながら扉を開けますと、素っ裸のじいちゃんが、体を洗うナイロンタオルに、バスマジックリンをシュッシュッっとしておりまして・・・。
体の水垢が気になったのでしょうか?それにしてもマジックリンで洗ったらカッサカッサになりそう。
途切れ途切れの記憶なのでしょうか。
こんな事がたまに起こっていて、それでも普段は普通で、会話も成り立つし、趣味の畑にも行くし、ちゃんと帰って来るし、食べるし、眠るし。
普通だと言えば普通なんです。
義父にとっても不安と混乱の時だったのではないかと思います。
「バカにしてんのか」と叫びたくなった日。
車の窓を全開で「ええ加減にしてくれ!」と叫びながら運転した日。
情けなくて勝手に涙が出た日。
旦那と大声でケンカした日。
頭に血が上って殴りそうになった日。
このまま放っておこうかと介護放棄をしそうになった日。
それはそれは、我が家独特の苦悩がありました。
日記を読み返すたびに、「よくやったよな~」とつくづく思います。
現在、義父は75歳。
四季折々の花を咲かせて楽しませてくれる広い庭のある特別養護老人ホームでお世話になっています。
ココでお世話になる前から、私達の事はわからなくなっていました。
今では、あんなに元気に歩き回っていた足も硬縮してしまい、会いに行っても、いつも、うつらうつら眠っています。
じいちゃんの頭の中で何が起こっているのでしょう。
いつ頃まで、記憶とか感情とか残っていたのでしょう。
思うようにいかず、騒いでいる私達の事をどう思っていたのでしょう。
話し上手ではなかった義父だから、感情を言葉に出さなかっただけで、もしかしたら、言いたかった事や伝えたかった事が沢山あったのではないだろうか。
会話ができなくなった今更、そんな事を思います。
初めの頃は、小さな「あれ?」大きな「あれ?」がありました。
ある日の夕食の事。
すき焼き鍋を囲んで「いただきま~す」。
みんなの卵をほぐす小気味良い音の中に、ひとつ・・・「ズズズ~ッ」
と種類の違う音。
(あれ?)
じいちゃんが生卵を丸呑みしていたのです。
「どうせお腹の中で混ざるのだから!」・・とでも?
それとも、「脂っこい物を食べる前に、胃袋を保護しておこう!」・・とでも?
食事の仕方がわからなくなったのは、結構初期の頃からです。
頻尿が気になるので、泌尿器科を受診した事がありました。
「まず、おしっこをこのコップに採って来て下さい」
と、渡された紙コップを持ってトイレへ行ったものの、なかなか出てこないじいちゃん。
心配になり男子トイレに様子を見に行くと、掃除用のゴム手袋をはめたじいちゃんが呆然として立っていました。
「検尿であろうと、美しい便器で成し遂げたい」・・とでも?
そんなはずもなく、何をしにココに来たのか、分からなくなったんでしょうね。
わたしの説明に「う、う、うん」と自分を繕い動揺を悟られないようにしていたように思います。
毎日毎日寝てばかりになっていました。
お風呂に入るのも億劫なようで、声をかけないと入らなくなりました。
入ってもすぐに出てくるので、ちゃんと入れてるのかな~と心配になり、脱衣所で耳を澄ませておりますと、
「シュッシュッシュッ」と聞こえてくるではありませんか!
(あれ?)
「じいちゃーん」と声をかけながら扉を開けますと、素っ裸のじいちゃんが、体を洗うナイロンタオルに、バスマジックリンをシュッシュッっとしておりまして・・・。
体の水垢が気になったのでしょうか?それにしてもマジックリンで洗ったらカッサカッサになりそう。
途切れ途切れの記憶なのでしょうか。
こんな事がたまに起こっていて、それでも普段は普通で、会話も成り立つし、趣味の畑にも行くし、ちゃんと帰って来るし、食べるし、眠るし。
普通だと言えば普通なんです。
義父にとっても不安と混乱の時だったのではないかと思います。
更新日:2015-07-06 22:36:51