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どんぐりひとつ

 寒い朝、目が覚めると、おばあちゃんの家だった。パパもママもいない。

ボクはどうしてママと一緒にいられないの?

ママはどうして迎えに来てくれないの?

泣きそうになった時、パパがいきなりやって来て、ボクを抱っこした。

「ママが待ってるから早く行こう」


着いたのは、いつもママと行く病院だった。

初めて上がる階段を行くと、窓からどんぐりの木が見えた。

すっかり丸裸になったどんぐりの木は、うっすら雪をのせていた。

パパに手を引かれ部屋に入ると、ママがベッドに座っていた。

なんだかママの傍に行ってはいけないような気がした。

そしたらパパが、

「ママの所に行っていいよ」

と、背中を押してくれた。

ママの傍に行くと、ベッドの横にもう一つベッドがあった。

「おいで」

ママが手を広げて待ってくれている所に、ボクはゆっくり吸い込まれた。

そしたらママは、ボクをギュッとして、

「ごめんね、しんちゃん。さみしかったね」

と涙を零した。

「しんちゃんのいもうとだよ」

ママと一緒に覗いたベビーベッドで、すやすやと眠る赤ちゃんが、ピクッとあいさつをした。

しっかり握り締めた小さな手には、どんぐりが一つ入ってるみたいだった。


             おわり。

更新日:2015-07-04 02:16:09

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