官能小説

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フローラは支配人の後について店内を歩きながらも、まじまじとカフェの中を様子を眺め回した。

…以前は某高名な貴族の別荘だったらしいこの店は、建物自体から素晴らしく、窓や柱には他の建物には無い、細かくて美しい彫刻が施され、所々に存在する絵画や彫刻は高名な芸術家の作品ばかり、当然店内のテーブルや椅子、食器、カーテンやテーブルクロス等、全てが一流品で埋め尽くされ、正にこのカフェ自体が芸術品そのものと言っても良い位だった。

…この花瓶、割らしたら一体いくら弁償しないといけないのかなあ…、絶対、自分の店売り払っても足りないだろうなあ、
あ、このフォークセット、ひとつくらいくすねても気付かれないかなあ…、

そんな不謹慎な事まで頭に浮かべながらも、フローラは店の奥にある個室の前まで連れて来られた。

「マリウス様はこちらでお待ちで御座います。」

…いよいよね…、

てか、どーせ断られるのだから、きらーくにいこう。
…あ、あの婦人が食べてるお菓子、チョコレートたっぷりで美味しそう…。
あちこちから香ばしい薫りがしてきてるけど、お茶もさぞかし良いものを使っているんだろうなあ。
…一体中ではどんなお茶とお菓子が準備されてるのだろう…、出来たらあのチョコレートムースが良いなあ。

…この場においても、全く方向違いな事を考えているフローラ、ある言った意味、かなり大物…。

支配人はコンコン、と扉をノックして一声かけた。

「失礼致しますマリウス様、お連れ様がおみえになりました。」

すると中から男性の、恐らくマリウスらしい、ちょっと高めの響く声が聞こえてきた。

「ああ待ってたよ、中に案内して。」

「畏まりました。」

支配人はそう返事し、ゆっくりと扉を開いた。

…どきん…、

流石のフローラも、この場になって少し緊張感が走り、ぴしっと背筋を伸ばした。

…どんな人かしらね、
官僚というからには、見るからに長身細身の、典型的デスクワーク体型の頭堅そうな人かしら?それとも意外にも筋肉ムキムキのマッチョとか…!

そんな妄想を広げながら、開かれた扉の奥にいたひとりの人物を見た。

「……え……!?」

だが、視線の先に写ったその人物を見たフローラは、余りのことに思わず絶句してしまった…。

更新日:2015-07-04 09:02:50

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