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目を開ける。
隣に智がいない事を確認して、翔は寝返りを打って目を閉じた。
智とずっと話していた。
お互いに眠りについたのは、朝方で。
智に請われて、翔は智に抱きしめられて眠った。

「おはようございます。翔ちゃん」

近くで声がして、翔は慌てて飛び起きる。
布団の側で、正座しているニノがいた。

「どうやら昨夜は上手くいったみたいですね」

ニノの視線の先を辿ると、翔の胸を見ている。
そこには智が散らせた紅い花。
慌てて布団を胸まで掛ける。

「今さら何を恥ずかしがってるんですか。見せてもらいますよ。証を」

「ニノ!」

ニノは翔の布団を引っぺがし、嫌がる翔の足を掴んで広げた。
翔の内腿に視線を送る。

「ふうん、出来たみたいですね」

そこには智がつけた花がある。

「なんて、言うと思ったんですか?」

冷ややかなニノの声に寒気を覚えた途端。
翔の足の間にニノのカラダが入り込む。

「ニノ!」

足を上げられて、膝を折られる。
この体勢は……。
逃げようとカラダを捩った途端、ニノの手に力が込められた。

「いっ、た!痛い!ニノ!」

「あなたからは、オトコにやられたって感じがしないんですよ。プライドの高いあなたが、オトコにやられて平静でいられる訳がない」

「ニノ……」

「それでも……あいつには気に入られたって訳ですか。そんなにキスマークたくさんつけられて」

「こ、れは」

「あいつに言っておいて下さい。あなたが手を出さないなら、俺が翔ちゃんに突っ込んでやるって」

「ニノ!」

「今はあなたのモノでも、この儀式が終わればあなたと翔ちゃんは他人だ。それとも、翔ちゃんをあなたの庇護下に置きますか?できないでしょう?」

ニノの手がまた翔の足に力を入れる。

「ニノ!」

翔の切羽詰まった声にニノの手は緩み、立ち上がって翔を見下ろす。

「伝えてくださいよ、翔ちゃん」

そのまま立ち去ろうとするニノに、翔は声をかけた。

「待て!ニノ」

ニノが振り向く。
冷淡に翔を見るニノの瞳に、怯みながらも声を出した。

「どうして、どうして直接智くんに言わないんだ?」

「俺は、あいつに声をかけられないんですよ。それが俺がこの家にいられる理由です」

ニノは口元に歪んだ笑みを浮かべた。

更新日:2016-01-12 20:36:31

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