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外されたストッパー

深夜十二時過ぎ、静まり返った工藤邸内に新一の足音だけが響いている。

新一は眠ったままの志保を腕に抱きかかえながら、自分の部屋へと運んでいく。
そっとベッドに寝かせれば、穏やかな寝息が耳を掠める。
しばらく彼女を見つめると、「おやすみ、宮野」と返事のない彼女に、
そう声をかけて部屋を出て行った。

キッチンで冷蔵庫から冷やしたミネラルウォーターを取り出すと、
ペットボトルを片手にリビングのソファにドダッと倒れ込んだ。

ただひたすら疲れていた。
長い夜に何も考えたくなくて目を閉じる。

次に目が開けた時には夜が明けていた。
時刻を見れば、朝七時三十分。
夏の目覚めの早い太陽が今日も暑く外を照らしている。

「俺、寝てたのか……」

眠った感覚があまりない。
エアコンはつけていたはずだが、全身汗をびっしょりかいている。
何か夢でも見ていたのだろうか、覚えもない。

新一は目覚まし代わりに熱いシャワーを浴びると、志保の様子を見に行った。

志保はまだ眠っている。
新一がベッドへ近づくと、人の気配に志保がわずかにみじろぐ。
呼吸も浅い、そろそろ目が覚めるはずだ。

新一は彼女を揺り起こす。

「宮野、おい、宮野、起きられるか……」

新一の呼びかけに志保の瞼がかすかに動く。
さらに彼女の名を呼んだ。

「宮野、宮野……目を開けてみろ、起きろよ」
「んっ、んー? んんんーー」

新一の声に応えるように志保がゆっくりと目を開ける。

「宮野、やっと起きたか……。おめえ、ずっと寝っぱなしだったんだぜ。
身体はどうだ? どこかおかしなところはないか?」

新一は覚醒したばかりの志保に次から次へと言葉をかける。

志保は目を開けたままぼんやりとしている。
何もわからないようだ。

それでも志保に話しかける。
新一の声が部屋に響くたびに彼女の焦点が定まっていく。

更新日:2017-11-06 14:36:44

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未熟なふたり ~ 迷える子羊たち 【コナンで新一×志保】