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親友からの忠告

新一も志保も表面上は何事もなかったかのように夏休みを過ごしていた。
あの夜キスした事実を胸に秘めながら────。

夏休みのある日曜日、博士に用事を頼まれて志保が工藤邸を訪ねると、
玄関からドアを開けて出迎えたのは服部平次だった。

服部とは昨日が宮野志保として初めての対面だったが、
昨夜は新一とともに服部も阿笠邸の夕食に招待して会話を交わしていた。

「あら、服部くんだけなの? 工藤君は出かけたのかしら?」
「工藤なら毛利のねえちゃんと約束しとるからと出かけていったわ」
「そうなの……」

志保が少し残念そうな顔をする。

「ねえちゃん、工藤になんか用やったんか?」

「ええ、でも、博士に頼まれたものを届けに来ただけなの。
服部君から渡してもらえるかしら?」

「おお、かまへんで……。ところで、ねえちゃん暇か?」
「特に用事はないけど……」
「ほんなら俺とどこか行かへんか? 俺も工藤が出かけてしもうて暇やねん」
「そうね……私でよければ付き合うわよ」

夏休みと言っても新一と博士以外とはほとんど付き合いのない志保は、
どこかに出かける予定もない。

「どこへ行くの?」

「せやな、定番やけど浅草方面にでも行ってみいへんか?」

「私はどこでもいいわよ」

「最近できた何とかちゅう日本一のタワービルに展望台があるやろ?
俺、チケット二枚もっとるから登ってみよや」

「あら? そうなの……私もまだ行ったことがないのよ。
それは楽しみね」

志保は服部にニコリと微笑む。

(おっ、ねえちゃん、素直でかわええやんか……。
ほぅー、なるほど、あの不愛想なちっさいねえちゃんも笑うようになったんやな)

黒の組織の脅威や解毒剤の研究から解放されたせいか、
宮野志保に戻ってからの彼女はよく笑顔を見せるようになっていた。

更新日:2017-10-30 09:50:54

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未熟なふたり ~ 迷える子羊たち 【コナンで新一×志保】