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アクシデント・キス

毎晩恒例となった予備校からの三十分ほどの帰り道────
二人はいつも何かしら言い合いをしている。

今夜の言い合いの発端は新一の迎えが遅くなったことだった。

事件のせいで遅れると連絡のあった新一を、
志保は予備校前で一人ポツンと待っていた。

そんな時、予備校前を通りかがった男が声をかけてくる。
ただ二言三言言葉を交わしただけなのだが、
その現場を目撃した新一が難癖をつけ始めたのだ。

「中で待ってりゃ良かっただろう」

「まさか名探偵が事件の謎を解くのに、
あんなに時間がかかるとは思わなかったのよ。
貴方を待ってなかったら、今頃家に着いてたわね。
何度も一人で帰れるって言ったじゃない?」

「バーロー、一人で帰ったら、危ねぇだろうが……。
おめえ、すぐ声かけられるし」

「あのね……」と志保が呆れ始める。

「そうやって誰も彼も悪人に見えるのは……工藤君、貴方の職業病ね」

「おめえは警戒心がなさすぎなんだよ」

「そんなことないわよ。
声をかけてくる男がすべて悪い人とは限らないじゃないの?」

「おめえも何度も見てきただろう。俺は色んな事件に遭遇してきたが、
いい人だからと犯罪を犯さないとは限らないんだぜ。
特に男はな、女を前にすると、時と場合によってはツメの先ほどの理性の欠片だって、
働かない時があるんだよ!」

ここまで来ると売り言葉に買い言葉。
互いの感情がヒートアップしていく。

「工藤君、そういう貴方も男よね?
貴方にも理性の欠片も働かない時があるわけ?」

「おれは……俺はんなことはねーけどよ」

わずかに新一が口ごもる。

更新日:2017-10-28 22:50:10

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未熟なふたり ~ 迷える子羊たち 【コナンで新一×志保】