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プロローグ

そこは帝丹高校三年A組────

昼休みのざわつく教室で机に突っ伏して、
ウトウトと気持ち良さそうに惰眠を貪る一人の少年。
高校三年生になる工藤新一だ。

少年の安眠を邪魔するように長い黒髪の美少女が声をかけた。

「新一、また夜更かししたの? 
どうせ昨夜も遅くまで推理小説を読んでたんでしょ」

「うるせーよ、蘭……昼休みが終わるまで寝かしてくれよ」

「もうー、いつもこうなんだから」

幼馴染でクラスメートの毛利蘭だ。
新一は購買で購入したパンを蘭と一緒に教室で食べると、
机を枕代わりにすぐに眠りについてしまう。

せっかくの昼休みなのに新一とろくに話もできず、
さっきからずっとつきあいの悪い新一に蘭は腹を立てていた。

そんな時、彼女の名を呼ぶ元気な声が────

「らーん!」

毛利蘭の幼い頃からの親友で同じクラスの鈴木園子だ。
園子が机に突っ伏す新一を見て少し呆れた声を出す。

「また新一君、寝てるの?」

「そうなのよ、まったく……やっと学校に戻ってきたと思ったら、毎日この調子よ。
寝てばっかり……」

蘭が「はあ」と悩ましげにため息をつく。

工藤新一は一年間の休学を経て、
高校三年に上がった四月から帝丹高校へ復学していた。

「ねえ、園子、今日はクラスの男子がやけに少なくない? 何かあるの?」

なぜかいつもより男子の姿が少なく生徒がまばらの教室内を見回しながら、
蘭が園子に尋ねた。

「みんな見に行ったのよ! 昨日きた転校生を……」

「あの、D組に転校してきたって子?」

「そう、すっごい美人らしいわね。
聞くところによると、ハーフで編入試験も五教科全部満点ですってよ」

「園子、そんな話どこで聞いてきたのよ? 園子は相変わらず耳が早いね」

(へぇー、ハーフで秀才ねー。そういや、あいつ元気にしてっかな……)

新一は机に両腕をおいて顔を伏せながら園子たちの話を聞いている。

更新日:2017-10-26 21:10:42

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