官能小説

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夏休み

蒸し暑いアパートの部屋。
エアコンは備え付けられていたが、古いせいかなかなか効かないし、電気代を節約するため、俺は勉強の時や寝苦しい夜以外は極力使わないようにしていた。

しかし暇だ…
今日はバイトもない。
夏休みに入って1週間を過ぎたあたりで、既に俺は暇を持て余していた。

こんな時に頭に浮かぶのは、先生の笑顔だ。
会いたい…会って、何でもいいから話したい。

そして…
先生の裸。まだ見ぬ裸。
シャツ越しにも分かる、骨太で逞しい、肉付きの良い体。
相談室で見た、まくったジャージのズボンの裾から見えた、肉感的なふくらはぎ。

そんなことを思い浮かべただけで、暑さのせいもあるのだろうか、むらむらと欲情する俺。股間のものがピクリと反応する。

でも…自分が同性が好きだという自覚は既にあったのに、先生や同性の同級生たちを思いながら自慰に耽ることは、当時の俺はまだ、思いとどまっていた。
それは罪悪感からだったり、自分の本性を完全に受け入れきれていないためだったり。
とにかくまだ、ためらいがあったのだと思う。
だから俺は蒸し暑い部屋で、悶々と先生を思いながら寝転がるだけだった。

笑うとなくなる、メガネの奥の優しい目。
ポロシャツからのぞく、太い二の腕。
武骨なメタルバンドの腕時計をはめた、太い手首。
うっすらと体毛や産毛の生えた手の甲と、太短い指。

汗の匂い。足音。刈り上げたうなじ。汗の浮いた太い首。
サンダル履きの裸足と、ちらりとのぞいたスネ毛。

胸がドキドキして苦しいほどだ。
抑えられない。
俺は起き上がり着替えると、暑い部屋を飛び出し、学校への道を駆け出した。

………

…飛び出したものの、炎天下、学校までの道のりを歩くうち、少し冷静さが戻ってきた。
暑さと疲れが、俺を現実に引き戻す。

学校に行ったとして…どんな理由で来たと先生に言う?
普段、自分の殻に閉じ籠り、素直に感情を表に出さず、先生に対しても斜に構えたような態度を取ってきた自分。
そんな俺が長期休暇のさなか、わざわざ学校に行き…先生に会って何と言うのか…

そんな事を考えるうち、歩む足が鈍ってきた。
校舎が見えてきた。学校まではすぐだ…

「お?藤崎か、どうした。」
その時、急に後ろから声がした。
驚いて振り返る。
岡部先生だった。

「あ…いや…」
口籠る俺。
ほんの10日ほどぶりなのに、懐かしい声と笑顔。

先生は自転車に跨っている。
「今、部員全員でランニング中でな。後から来ると思うんだが…」
後ろを振り返る先生。
白い短パンを穿いている。
サドルに跨ったまま片足を地面につけ、大きな体を支えている。

俺はむっちりと日焼けした太ももやふくらはぎに目を奪われる。
白い短パンとの対比が鮮やかで…今の俺には酷く艶めかしい…

「奴らだいぶ遅れてるな。サボってるか、それとも暑くて…俺が自転車飛ばしすぎたか?」
くるりとこちらを向き、いたずらっぽく笑う先生。
俺は慌てて先生の足から目を離す。
股間のこんもりとした盛り上がりに目線を走らせていたのを気付かれやしなかったか、ひやりとしながら…。

「まあ、ここじゃ暑くてかなわん。あっちで話そう。」
首にかけたタオルで汗を拭いながら、学校へ向かって自転車を漕ぎ出す先生。
歩く俺に合わせ、ゆっくり進みながら、校門に向かう。

「ふうう…」
自転車を止めて校庭の隅の木陰のベンチにもたれ掛かるように座り、溜め息をつく先生。
部員たちのために用意してあるのだろう、クーラーボックスから大きなペットボトルを取り出すと、ふたつの紙コップに麦茶を注ぎ、俺にひとつ、手渡す。

キンと冷えた麦茶。
ゴクゴク喉を鳴らして、先生が飲み干す。
俺もベンチに並んで腰掛け、麦茶を飲み干す。
先生がまたペットボトルから茶を注いでくれる。

「今日はバイトは休みか?」
「はい…」
先生は汗を拭きながら、遠くを見つめている。
静かだ。
蝉がただ、うるさいほど鳴いている。

俺が学校に来た理由を、先生は尋ねなかった。
いや、尋ねなくとも明らかだったからだろう。
俺は、先生の横顔を盗み見る。

俺は…寂しかったのだ。
話がしたかったのだ。
独りでいたくなかった。
誰かと会いたかったのだ。

そんなことくらい、教師として、大人として。
先生は言わずとも分かっていたに違いない。

いや…。
でも…

先生でも分からないはずのこと。
分からないはずのことがある。
誰でも良かったのではない。
俺は、ほかでもない“先生に”会いたかったのだ。
大好きな…先生に、会いたかったのだ…

そんな俺の気持ちは、分かるはずもない…。

…でも…まあ、いい。
どうでもいい。
先生の隣で、木陰をそよ吹く風に吹かれ、黙って並んでいるだけで、俺は何だか満足していた。

更新日:2015-06-17 00:40:43

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