官能小説

成人向けコンテンツについて
R-18

ここから先は未成年にふさわしくない成人向けの文章が含まれています。

18歳未満の方、もしくはこのような小説を不快に感じる方は「入室しません」を選択してください。

上記の内容に同意される場合のみ「入室します」をクリックしてお進みください。

  • 10 / 126 ページ

夜の公園

その日のバイト先でのこと。
バックヤードで、入荷した書籍や雑誌の仕分けをしていた時のことだ。
その日は週刊や月刊の雑誌の発刊日が重なり、かなりの種類の雑誌を仕分け、配架用のワゴンに載せたりしていた。

いわゆる成人向け雑誌も多い。
半裸の女たちの表紙に扇情的な言葉が踊っても、俺の関心は向かない。
と、黙々と作業を進めていた手が、ふと止まった。
中年サラリーマンのイラストが描かれた、文芸誌サイズの月刊誌。

何だろう…
ある予感に胸が高鳴るのが分かった。
中を開き、心臓が口から飛び出すかと思うほどドキンとした。
中年の男たちの裸だった。
先生くらいの年代で、恰幅がよく、今日職員室で見た先生の裸体を否が応でも思い出させた。

慌てて周囲を見渡した。
幸い狭いバックヤードには俺しかいなかった。
忙しい時間帯だ。早く仕事に戻らねば…
でも、本の中身を見たい欲求には抗えなかった。
そして、俺のペニスはかつて無いほどの興奮に、痛いほど硬くなっていた。

俺は唾を飲み込みながらページをめくった。
男たちが絡み合い、互いの性器を握り合う様、口づけを交わす様、ベッドに伏せた男の大きな尻を背後からペニスで貫く様…
それら全てが目に焼き付くようだった。

………

その夜、俺は初めて、明確に男の裸や男との性行為を意識しての自慰に耽った。
昼間に見た、先生の柔らかな胸や腹が浮かぶ。
浅黒い肌に汗が光っていた。
あの体に、太い腕できつく抱きしめられたら…
あの雑誌の中の男たちのように口づけあい、先生の性器を口にし…その性器で深く貫かれたら…!

俺はあっという間に達した。
経験したことがないほどの快感と共に、顔にまで飛ぶほど、激しく射精した。

事後、手や指を汚す己の精液を眺め、軽い自己嫌悪を覚える。
男の裸やペニスを思いながら射精する自分。射精してしまった自分。

武藤などの同級生や岡部先生とは違う自分を改めて自覚する。
親しみを覚え始めていた級友たちが、また、急に遠く感じられた。
そして、そんな自分にも嫌気がさした。

………

そんな夏休みも半ばを過ぎた頃。
俺に大きな変化をもたらす体験があった。
バイト帰り。夜も遅くなった時分。
俺は自転車で家とは反対方向に漕ぎ出す。
そして、川沿いの大きな公園に入っていった。

意を決してのことだった。
あの雑誌でこの公園の名を目にしたのだ。
俺と同じ仲間が集まる場…ハッテン場についての特集記事で…

夜のジョギングをしている人もちらほらおり、街灯も所々にあり、さほど変わった所はないように思われた。
しかし、広い公園の奥の方に進んでいくにつれ、様子が変わってきた。
鬱蒼と木が茂り、街灯の明かりも届きにくい。
そして、目が慣れてくると、所々のベンチに人影があることに気づき、俺は更に緊張する。

どうしよう、帰ろうか…やっぱり…怖い。
しかし、あの雑誌でこの公園を知ってから数日、迷いに迷ったのだ。
俺は、俺と同じ“仲間”に会ってみたかったのだ。

…会うだけ?それだけか?
そう問われると自信はない…
でも、胸に抱いている微かな孤独を、少しでも分かり合える仲間がいれば…
そう考えていたのは事実だった。

迷った結果、こうして足を運んだのだ。
もう少し…様子を見てみよう。
どうせ一人暮らしだ。帰りが遅いことを咎める人もいない。
俺はポツンと木陰に立ち尽くし、時々うごめく人影にビクッとしながら周囲をただ、眺めていた。

小一時間が経った頃。
…無駄だった。駄目だ、そろそろ帰ろう。
何も起こりそうになかった。起こらなかった。

時々俺の前を通り過ぎる人影から投げられる、絡みつくような視線を感じ、少し怯えただけだった。
元来た道を戻ろうとした時、ふいに、少し離れた木立から視線を感じた。

視線の元は、半袖の白いシャツを着た、大柄なおじさんだった。
顔はよく分からないけれど、眼鏡をかけた丸顔とガッチリとした体は、何となく岡部先生を彷彿とさせた。

仕事帰りだろうか。クールビズでノーネクタイ。
半袖のシャツからのぞく太い腕を、厚い胸板の前で組みながら、こちらをじっと見つめている。
その目線に込められた熱のようなものに、俺の胸は急にドキドキし始める。
こちらに歩み寄ろうとするおじさん。
どうしよう…
迷う俺。

と、おじさんのそばに誰かが近寄ってきた。
若い男だ。俺よりは年上に見える。恐らく大学生くらいか。
おじさんに話しかける声が微かに聞こえる。
遠くの通りを走る車のエンジンの音が時折聞こえるだけの静かな木立。

おじさんは俺を気にする様子を見せながらも、若者に顔を向けた。
若者の背格好は小柄な俺と同じくらいだ。おじさんを見上げるようにし、笑顔で話しかけているのが見える。
おじさんも身を屈め、若者の耳元に何やら囁く。

更新日:2015-06-28 00:07:34

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook