官能小説

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先生のこと

「お、藤崎。今帰りか。」
夕陽が校舎を赤く染める中、校門へ向かってひとり歩いていた俺の背中に、太い声が飛んだ。
振り返ると、担任の岡部先生が渡り廊下に立っていた。

「あ、はい…」
急に声をかけられ驚いた、ということもある。
そして…相手が岡部先生だから、ということもある。
少し口ごもりながら応える俺。

「今まで図書室で勉強か?毎日よく頑張ってるな。」
「…この前の模試の結果も良くなかったですし…」
「まあ…勉強熱心なのはもちろん感心なんだが…まだ高校生活も始まったばかりだ。最初から頑張りすぎると最後までもたんぞ?」
「はい…でもまあ大丈夫です。」

先生はなかなか立ち去らない。俺の方を見たまま、にこやかに笑っている。
まだ話は終わらないようだ。脇をほかの生徒が駆け抜けていく。
会釈していく生徒たちに、
「気を付けて帰れよ!」
と笑顔で声を掛ける先生。

「…どうだ、生活の方は。一人暮らしは慣れたか?」
俺に向き直る先生。
俺を見つめる優しい眼差し。
俺はまともに顔を合わせられない。

「まあ…親も忙しくて元々ひとりが多かったし…それに高校入って、もう3か月ですよ…?」
「…まあ、なら大丈夫かも知れんが…何か困ったことがあったら何でも相談するんだぞ?」
「…はい、ありがとうございます。」

軽く頭を下げる俺。
半袖のシャツからのぞく日焼けした太い腕に、チラリと視線を走らせる。
先生はにっこり笑うと、俺に背を向け、渡り廊下を歩み去って行く。

聞き慣れた先生の足音と共に、白いシャツが映える大きな背中が校舎の中へと消えてゆくのを、俺は見送る。
俺は自分の視線が、先生のその広い背中の更に下にある、薄手の夏物のスラックスの生地に包まれた大きな尻を追ってしまっているのを自覚している。

…俺は、先生が好きだ。

普通の生徒が抱く、親近感という類の感情ではない。

俺は、先生が、好きだ…。

………

…俺がこれから話すのは、高校時代の思い出話だ。
忘れ難い思い出。
そしてそのほか…まあ色々だ。
俺自身の記録として、今、書き留めておきたい。
付き合っていただければありがたい。

………

…自分が同年代の友人たちと何かが違うことには、思春期に差し掛かった中学時代に気付いていた。
友人たちが夢中で話す女の子やアイドルの話題に、全く興味を持てない自分。
いわゆる性の目覚めが遅いだけなのかとも思っていたが、間もなく俺は自分の目が、同性に向けられていることに気付く。

同性の肉体。
筋肉をまとった、同性の体。
ぽっちゃりした同性の体。
同級生に限らない。
中年太り気味の、自分よりずっと年上の、男の先生たち。

俺はそんな自分の“本当の姿”に気付き、悩んだ。
両親の仲があまり良くなく、父は仕事の忙しさを理由に、俺が幼い頃から家に居つかなかった。
そんな生い立ちが原因なのか、などと思ったりもした。
父性を感じさせるような恰幅の良い、年上の男性に特に惹かれる自分に気付いていたからだ…。

高校進学を機に、生まれ育った山あいの田舎町を出ようと思ったのは、全く新しい環境に自分を投じてみたかったからだ。
幸い俺は成績もまあまあ良かった。頑張れば、街にあるそこそこの進学校にも進めそうだと言われ、本気になった。
山深く離島もあるため、高校進学を機に家を出て一人暮らしを始める学生は、俺の生まれ育った地方では、数は多くはないものの、そう珍しくはなかった。

結果、無事に合格した俺。そのタイミングで両親は離婚した。
「和哉、ごめんね。こんな時に。」
謝る母。
全くショックがなかったかと言われれば、それは当然あった。
しかし、そう遠くなく、こうなっただろうという予感はあった俺は、比較的冷静を保てたと思う。

その後、親権やら何やらでバタバタしているうち、寮のないその高校に通う一人暮らしの学生の多くが利用する、賄い付きの下宿などは、早々と埋まってしまっていた。
俺はアパートを借り、一人暮らしをしながら高校に通うことになった。

不安はあったものの、妙に俺は清々した気分だった。
ここから、新しい生活が始まる…。
勉強を頑張って大学に行こう。
親権を引き継いだ母からの仕送りだけでもやっていけそうだったが、少しでも助けになればと、アルバイトもするつもりだ。
全く違う自分。
新しい生活を始めるんだ…そんな気分だった。

とは言え、高校側としても、両親の離婚のこともあり、一人暮らしの俺のことを、生徒指導的な面から、当然気にはかけていたのだろう。
クラス担任になった岡部先生は、俺のことを実に親身になって気にかけてくれていた。
よく声を掛け、心配してくれた。

更新日:2015-06-10 00:03:09

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