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そうだよな…

俺…すごく男らしくない

松潤に負けてるよな…

ニノだって智くんが好きで…大好きで…

ずっと智くんのこと想ってきたのを

俺は…知っている…



きっとひとりで泣いた事だってある筈なんだ…

だけどニノは俺と違って

ちゃんと智くんと松潤を祝福して

しかも俺や雅紀の事まで考えてくれて

しっかりフォローまでしてくれて…

メンバーみんなの気持ちをとても大切にしてくれてるのに…



俺…男としても人間としても

ニノや松潤に負けてる…

今の俺…すごく情けない…よな…



「…もしもし…?

翔さん…?

翔さん、生きていますか…?」



すっかり黙り込んで俯いてしまった俺に

ニノが心配そうに声を掛ける



「…翔ちゃん…ごめんね…俺、言い過ぎた…

翔ちゃんだって辛いのに追い打ち掛けちゃった…よね…」



そう言って子どもをあやす様に

ソファに座っている俺の頭を抱き締めてくれた



「…翔ちゃんの良いトコだって沢山あるの

ちゃんとわかってるから…

だから元気出してまたチャレンジしよ?」


「………。」



…普通、恋敵にそんな事言わないって

ホントお人好しなニノ…



「…だから

泣くのは今日だけですよ?

明日からは…またいつもの翔ちゃんに戻って

ちゃんと仕切って下さい…ね?

誰にも翔ちゃんの代わりなんて出来ないんですから…」



返事の代わりにニノの細い腰をギュッと抱き締めると

よしよしと優しく頭を撫でてくれる



子供扱いされている気もしなくもないが

それでも腹は立たなくて…

むしろとても心地良くて…

ずっとこのままでいたいとさえ思ってしまう俺がいる…



そう思ってしまうのは互いに

成り行きとは言え二度も肌を合わせた所為なのか…



「大丈夫…翔ちゃんにもきっと春は来ますよ…」


「…俺に春なんて…来ないよ」


「絶対に来ますよ…

こんなイイ男そうはいませんから…」



穏やかで優しいニノの声が

俺を引き上げていく…



「あなたの真面目なトコも…優しいトコも…

仕事熱心なトコも…」



普段とは全然違うのに

何処かで聴いた事のあるような…



「ちょっとドジなトコも…ヘタレなトコも…」



懐かしいような…



「俺は大好きですよ… ね、翔ちゃん…」



心地好い声…



ニノ…優し過ぎるよ…

俺をそんなに甘やかしてどうするの?

でも…こんな時間も悪くない…



ニノに抱き締められて

ニノの声に包まれて…



ニノが俺の中の醜い部分を浄化してくれているみたいに…

俺を変えていく…













更新日:2015-06-12 16:15:51

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