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大野さんと移動遊園地で幾つか乗り物に乗って

街をブラブラしながら写真を撮ったり買い物をしたり

日本ではできそうにないデートの様で…



否、俺にとってはデートそのもので

とても満ち足りた時間…

ずっとこのままあなたとの時間が続けばと願いながら

楽しい時間はすぐに過ぎる…



俺たちはホテルのレストランで食事をして部屋へと戻った

二人で気分良く赤ワインのボトルを1本空けたので

あなたも俺も少しばかりほろ酔い加減で…

だからだろうか…



つい…抑えきれなかった本音が…

零れてしまったんだ…



「わぁ…潤くん見てよ!夜景がすっごくキレイだよ♡」


「そうだね…」



部屋の窓から臨む夜景に感動するあなたがまた可愛くて

まるで恋人同士のシチュエーション…

そんな甘い雰囲気に

俺はすっかりその気になって

あなたの肩を抱こうと手を伸ばして…



「…今頃みんなどうしているかな?

翔くんはもうすぐZEROの時間だからスタジオでスタンバイ中かな?」



「………。」



あなたの言葉に

俺の手はあなたに触れる事無く…下へと降ろされた

窓の外を見ていたあなたは何も気付かないまま…



「大野さん…時差があるから日本はもう朝…

もうすぐ6時位かな」


「そっかぁ…

じゃあZEROはもう終わってるんだ…」


「………。」



残念そうなあなた…

必要以上に淋しそうに見えるのは俺の気のせい…?



「…相葉ちゃんは番組のロケがあるからもう起きて用意してるかな?

ニノはオフだからゲームで夜更かししてまだ寝ているかも…」



日本を離れていても

メンバーのスケジュールを把握していて

あれこれ想いを飛ばす大野さんに

俺の想いが暴れ出す

今、あなたの隣には俺が居るじゃない…!



俺の中で何かが動いた



「…大野さん…」


「ん…?なに…?」


「折角二人で居るんだから…

俺の事…見て…?」


「うん…?」


「大野さん…

俺、あんたの隣に立てる男になりたい

あんたに相応しい男になりたいんだ…」


「潤くん…?」


「どうしたら良い?

どうしたら俺を認めてくれるの?

あんたの傍にいる為にはどうしたら…」


「潤くん、何言ってるの?

今のままで充分…」


「違うんだ…!

あんたの思っているのと

俺が言っているのは…!」


「潤くん…」



あなたを困らせるつもりなんてないのに

俺…あなたを困らせてる…

だけどもう…俺…止まらなくて…



「あんたは…全然わかっていない…

あんたにとって俺は只のメンバーのひとりでしかなくて…

だけど、俺は…俺はずっとあんたを…!!」


「じゅんく…んっ…!?」



自分を抑えられなかった…

力任せにあなたを抱き寄せ荒々しくその唇を奪う

永い間想い続けて…ずっと触れたかったあなた…

きっとこれが最初で最後だと思いながら

角度を変えて何度も何度も

噛み付く様なキスを繰り返した



これであなたの心が手に入るとは思わない

もう俺の隣で笑ってくれる事なんて

なくなってしまうかもしれない



でも…



そうせずにはいられない程

俺は煮詰まっていたんだ…



それでもなけなしの理性が働いたのは

あなたの素肌に直接触れた時にあなたの躰が強張ったから…



これ以上

あなたを傷付けちゃいけない…

優しいあなたを困らせちゃいけないよね…



「…ごめん…これ以上一緒に居たら

俺、あんたを傷付ける…

こんな処まで来て…ごめん…

俺、今夜は他に部屋取るから安心して…?」



躰をそっと離して…できるだけ優しい声で

これ以上あなたを怖がらせないように…

俺は精一杯紳士的に身を引いた



「………。」


「じゃあ…」



踵を返して部屋を出ようとすると

あなたの手が

俺のシャツの裾をしっかりと掴んでいた…





更新日:2015-06-08 10:03:27

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