• 41 / 100 ページ

Ruthless stairs 03

こいつの真意がわからないままそばに置くのは。
危険な気がした。・・・それでも。

自分を、犬だというなら。
どうして傷つけることができるだろう。そばにいてくれるだけで、癒される存在を。
愛しこそすれ、傷つけることは、できない。
・・・ただ。それが本物の犬なら、の話だ。

シャワーを浴びて出てくれば、本当に。
律儀にバスローブを脱いで、下着姿にエプロンつけて。
もうすぐできます! 楽しそうに、笑いながら。

一瞬、本当に。
気が、抜けた。誰かといるといつも、気を張っていて。
心底落ち着くとか、癒されることなんか、家族といるときくらいしかなかったけど。

俺の心の中に、土足で入り込んでくる。
軽やかな、四つ足で。
犬にも、いろんな種類があるが、こいつを。
信じて、いいのか。

・・・わからない。うまそうなメシのにおいに。
はい、できました! 得意げなその、顔に。

誰かを信じることなんて、久しく忘れていたと。
漠然と、思い出す。

更新日:2015-06-07 22:20:02

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook