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花容/花守

誰かを好きになることも、好きじゃなくなることも。
呼吸のように自然なこと。
まだ、子供だった頃。お姉さんに、迫られて。
されるがままに流されて、経験をして、から。

気がつけば、世の中にはたくさんの男と女が、いて。
いつの間にか俺もその中の一人。
子供だった頃は、相手にされなかった世界にいたけど。
いつからだろう。
「女の子」じゃなくて、「女」に、男として意識されていたのは。
さらに、世の中には。異性だけじゃなく、同性をも恋愛の対象とする人間が、いて。

たしかに、恋焦がれた人もいた。でもそれは、もしかしたら。
相手に求められたから、そんな気がしただけかも、しれなくて。
何より、俺自身、その相手に魅力を感じれは、性別なんて関係なく。
興味を持つことが、できた。恋愛的な視点で、だ。

ああ、その考え方は少し違うかもしれない。
もっと獰猛な、獣としての考え方。
抱けるか、抱けないか。そういう観点で、相手を見て。
女なら、相手をその気にさせて。
男なら、まずは相手から寄ってくるのを、待って。
快楽を求めて、忠実に、行動を起こした。

それを、軽いと嘲笑う奴も、いるけど。
この世に俺の体はひとつ。俺の心もひとつ。それならば。
誰かに恋をすることも、体で愛し合うことも、経験しなければわからない。
だから、俺は。
恋をする。それがどんなに浮ついた恋でも。

だってこの世界には、たくさんの美しい花が咲いているんだから。

更新日:2015-06-05 21:34:02

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