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手渡された小説 6

それでも


触れてきたあなたの唇を 自ら進んで受け


入れてしまう。



あなたの視線



あなたの鼓動



あなたの温もり



すべてを求めてしまう僕。



絡み合う舌が あなたを追い求め 焦がれて


いく。



この気持ち



あなたは気がついているの?



きっと 気がついていて・・・・・・


軽くあしらうんだよね。



酷い人。



残酷な人。



だけど 嫌いになれない僕が悪いんだよね。


(K)




「冷えてきたな・・、部屋に戻ろう・・」、


ふっと現実に引き戻される貴方の言葉。




「いや・・・」、


羽織っただけのワイシャツにしっかりと


しがみつき、僕がつけたその桜の咲く


胸の中に顔を埋めて、




「いやなんだ・・・」、


それ以上の言葉が出なかった。


(palareru)



「ちゃんと話すから。」



そう言って僕の頬にてを添えるあなた。


ちゃんとって何を?


あの人がいるあの部屋に・・・戻るの?



「ぼ・・・僕・・・」


なにも聞きたくない、その言葉を飲み込ん


だのは・・・


あなたが見たこともない厳しい表情をして


いたから。



聞きたくない。



その言葉が言えぬまま、僕はあなたに手を


引かれ歩きはじめた。


聞かなければ・・・僕は今のままあなたの


隣にいられるから。



あなたが僕だけのものじゃなくても・・・


あなたの隣にいたい・・・。


(K)



俯いた僕を、なかば強引に手を引いて


歩くあなた


冷えた僕の手より、うんと暖かい手


この暖かい手は、いつまで自分だけの物


なんだろう?



濡れた髪からポタポタ雫が垂れる、、、、



それとは違う暖かい雫も、、、、


(N)

更新日:2015-06-02 10:46:45

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