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彼の気持ち

学校からの帰り道に蘭の結婚式の話をして以来、再び哀はコナンを避けるようになっていた。
昔ほど露骨ではなかったが、コナンも哀が自分をまた遠ざけようとしていることにそれとなく気づく。

(原因は蘭だろな。……ったく、あいつはいつまで気にすれば気が済むんだよ)

せっかく哀との距離を縮められたと思った矢先の、彼女の自分を避ける態度に、
コナンも苛立っていた。

(なんで俺、あいつのこと……こんなに気にしてんだろうか。
これじゃあ、まるで灰原を俺が好きみてーじゃねーか)

頭では哀への感情を否定しながらも彼女が気になって仕方がない。
最近ベッドに横になると、毎晩彼女のことを考えている。

昔はこれっぽっちも彼女を可愛いなんて思ったことなどないのに……。

近頃、彼女が時折見せる仕草に胸がドキッとする。

自分の気持ちははっきりとはわからない。
けれども、このまま再び哀と離れてしまうのはどうしても嫌だった。
その夜もコナンは哀の頑固な態度をどうすればいいのかと考え続けた。


昼休みに教室の前の廊下をコナンが歩いていると、
前方で哀と長身の男が立ち話をしていた。

時々、哀が笑顔を見せるほど二人は仲良さそうにしている。
相手はコナンが見たこともない少年で一個上の三年生らしい。

コナンは思わず哀に声をかける。

「おい、灰原、ちょっと……」

コナンの声で哀とともに長身の男が振り向いた。

コナンは無意識のうちにメガネの奥から鋭い視線で男を睨みつける。
まるで敵意をむき出しにして……。

長身の男はコナンの視線にかなり慌てたように、
「じゃあ、灰原さん、また!」と去って行った。

更新日:2017-09-15 23:34:16

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アイの命運、恋の勝利条件 【コナンでコナン×哀】