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彼の視線

都大会一回戦の当日、哀たち三人は米花駅前で待ち合わせをする。
試合が行われるサッカー会場までは電車かバスに乗らなければいけない。

哀が待ち合わせ場所に着いた時には歩美も光彦もすでに待っていた。
オシャレをしていくと宣言した通り、歩美の格好はいつも以上に気合が入っている。

「あら? 歩美、その服、かわいいわね。よく似合ってるわよ」

「ほんと!? 似合ってる? 
ちょっと子供っぽいかなぁと心配しちゃった。
哀ちゃんはなんか今日は大人っぽいね、高校生みたい。
でも哀ちゃん、綺麗だね……ねっ、光彦君もそう思うよね?」

哀は特におしゃれしてきたわけではないが、
小学生の頃からファンション雑誌を愛読するほど、
ブランド物やオシャレ関係にはうるさかった。

普段でもハーフでパーツの整った綺麗な顔をした少女だったが、
私服になると一段とその美少女ぶりが際立っている。

「はい、そう思います。
灰原さんは綺麗ですし、歩美ちゃんもかわいいですよ」

光彦は二人の美少女に挟まれてほんのり頬を赤らめる。

「せっかくお二人ともおしゃれしてますので一枚撮らせて下さいね。
それでは歩美ちゃん、灰原さん……そこに仲良く並んで立ってみて下さい」

光彦は写真部に入部と同時に購入した愛用のデジタル一眼レフカメラを取り出すと、
早速、哀と歩美を撮り始めた。

「今日は、僕は写真部の取材も兼ねた応援ですので……
コナン君もじゃんじゃん撮るつもりですよ」

光彦がそう張り切っている。

「ねえ、円谷君、もう動いていいかしら? そろそろ行きましょう」
「うん、哀ちゃん、早く行こう!」

歩美は哀の手をつかんで駅の方へ引っ張って行こうとする。

「二人ともちょっと待ってくださいよー」

光彦は大事なカメラをバッグに仕舞うと急いで二人を追いかけた。

更新日:2017-09-15 23:36:57

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