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【第一部】 プロローグ

それは江戸川コナンと灰原哀が小学五年の春──
ついに警察組織と黒の組織との長い戦いに終止符が打たれた。

あの世界中を恐怖で震え上がらせた黒の組織が壊滅したのだ。

しかし、黒の組織が仕掛けてあった時限式爆弾によりアジトはすべて破壊され、
世界的な犯罪集団の全貌が解明されることはなかった。

と同時に、期待していたAPTX4869のデータも入手できず、
灰原哀が解毒剤を完成させるには至らなかった。

それによって江戸川コナンと灰原哀の二人は、
元の姿に戻ることが叶わぬまま中学生二年生になっていた。

二人の関係は解毒剤が完成しないとわかった時からギクシャクし始め、
次第にどちらともなく疎遠になっていった。

哀はコナンを元に戻せなかったことに罪の意識を感じ、あえて彼を遠ざけるようになり、
一方、コナンも哀を責める気などなかったが、コナンを避ける彼女に、
自分から歩み寄る気持ちになれるほど寛大でもなかった。

少年探偵団の歩美元太光彦の三人は、急に距離を置きだしたコナンと哀の二人を、
何とか元の関係に戻そうとしたのだが、頑固な二人を説得するのは難しく、
彼ら三人もまたクラスがバラバラになったせいで、
それまでのような少年探偵団として五人で活動することもなくなってしまった。

そんな中、この六月に工藤新一の幼馴染であった毛利蘭が結婚することになり、
江戸川コナンは長年世話になった毛利探偵事務所を出て、工藤邸で一人暮らしを始めることにした。

更新日:2017-09-16 01:17:29

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