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第〇章、結末のお婆々と幼女




 第〇章、結末のお婆々と幼女



 一本のローソクがユラユラと揺れると、白髪の老婆が居座る女性に声を掛けた。

「それで…あんたは、此処へ戻って来たのかい。この勘次の部屋へ戻って来ても、あんたの知りたいことは、此処には何んにも見つからないからね」

 すると赤いちゃんちゃんこを着た幼女が、老婆の傍らで、更らに、こう云った。

「そうだよ、お姉ちゃん。此処へ戻って来ては、不味いんと違う。自分の所へ帰らないと、段々、帰れなくなるよ?…」

 若い女は、ただ蹲ったまま、何にも言わずに両手を顔へ当て、又泣き出した。

「そうだろね。あんたには何にが何んだか、何んにも判らないんだからね!。光子さんだったね」

 盛んに女は、頷いて見せた。

「どうする、お婆々…?」

「どうしょうね。此のまま天国へ往くには、余りにも可哀相だし…。
と、言って情けを掛けては私達の役目が果たせないし…。
サァーて?、どうしたもんだねー。これは困った事に成って来ょったわい」




更新日:2017-09-27 19:52:54

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