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春情

 上気した頬、潤んだ瞳。大きく開いた浴衣の胸元にうっすらと浮かぶ汗。
 苦しげなのに無自覚に振り撒かれるフェロモンに下半身が痛いくらいに張りつめた。理性と平常心を掻き集め、何とか高熱で苦しむ三越さんを押し倒さずに乗り切った。が、正直、次は乗り切れる自信がない。だからできれば近づきたくないんだけど……。
 この時期、夜になると決まって高熱を出すと言っていた三越さん。多分、十分な休養が取れていないのだろう。日中、常に気だるげで、それは日増しに酷くなっていく。
 見舞ったところで何かできるわけでもなし、そう思っても一向に回復の兆しを見せない三越さんが気になって仕方がない。
 もってくれよ、俺の理性と平常心!
「三越さん、夜分遅くにすみません。伊勢丹です……大丈夫ですか?」
 意を決してチャイムを鳴らすも、三越さんが出てくる気配はない。
 まさか、倒れてる?!
 思わず手をかけたドアノブはガチャリと音を立て、抵抗することなく回り、ゆっくりとドアが開く。
 三越さん、鍵、かけ忘れた?
 なんて不用心な!襲われでもしたらどうすんですか!
 普段なら声を大にして言いたいところだが、今はそんな事より三越さんの生存確認の方が先だ。
 もどかしげに靴を脱ぎ捨てると、伊勢丹は一目散に三越の寝室へと向かう。
「三越さん!!」
 勢い良くドアを開けると、ベッドには乱れた浴衣姿でうつ伏せになっていた三越が潤む瞳を向ける。
「…いせ……たん?」
 熱っぽく流し目を送られ、若干掠れた舌っ足らずな声で名を呼ばれた途端、伊勢丹の下半身に熱が集中する。
 やべえ!フェロモン前回の三割増し!!
 踏ん張れ俺の理性!耐えろ俺の平常心!相手は病人だぞ!病人!
「み…三越さん、この間より症状酷いけど大丈夫ですか?薬、持ってきましょうか?」
「も……飲んだ」
 弱々しくシーツに頭を擦りつける。解熱剤が効かないのか、額には汗で髪が貼りついている。酷く辛そうな病人を目の前にして不謹慎だが、いつも隙のない洗練された姿しか見せない三越さんの子供の様な仕草に、つい可愛いと口元がゆるんでしまう。
「水分は取りましたか?冷たいの飲みます?」
 こくり、と三越が頷くのを確認すると、伊勢丹は急いで冷蔵庫からミネラルウォーターを数本取り出し、寝室のサイドテーブルに置く。
「三越さん、飲めますか?」
 キャップを開け、ペットボトルを差し出すと、三越は辛そうに体を起こす。ペットボトルを受け渡す際、触れた三越の手は驚く程熱かった。ペットボトルを口にし、こくこくと喉を鳴らして水を飲む。その途端、するり、と浴衣がはだけ、上半身が露わになった。口端から零れる水が仰け反る喉を伝い胸板を流れ落ちる。視界に白い肌にぷっくりと膨らんだ乳首が入った瞬間、伊勢丹の理性も平常心も吹き飛んだ。
「んんっ……ぁ……」
 三越の頬を両手で挟み、食らいつくように唇を塞ぐ。ぬるり、と舌を差し入れ、時折甘噛しながら絡ませる。ちゅくちゅくと濡れた音がする度、三越が弱々しく浴衣の裾を握りしめる。
「ゃ……」
「どうして嫌なんです?」
 キスから逃れようと体を捩る三越の無防備な項に吸いつきながら伊勢丹が優しく尋ねる。
「あつ……ぃ」
 先程から焼ける様な熱を発する三越の体。解熱剤も効かず、夜だけこんなになるなんて何かの病気だろうか?
「頭痛はしますか?」
「しな……い…」
 体を小刻みに震わせながらもたれかかる三越を、伊勢丹は抱える様に抱き締める。伊勢丹の膝にまたがり、三越が腰を下ろすと、そこに熱く硬いものが当たった。
「三越さん?勃ってます?」
「んっ……」
 軽く膝を揺らすと、三越は甘ったるい吐息を漏らす。
 発情期?まさか…動物じゃあるまいし。でもそうだとしたら、解熱剤が効かないのも頷ける。
「やっ……あつ」
 軽く乳首をつねれば、いやいやと伊勢丹から離れようとする。
「大丈夫。溜まった熱を出せば楽になりますから。ねっ?」
「あっあっ!」
 ちゅうちゅうと乳首を吸いながら、片手はあやすように三越の背中を撫でる。もう片方の手で三越の下着を下ろすと、張りつめて濡れそぼつペニスを握り、先端を親指でくるくるとマッサージする。
「やぁ……っ」
 辛そうに目尻に涙を浮かべながら、仰け反ってあついあついとうわごとを繰り返す三越を、伊勢丹はそっと横たえる。
「もう少しだけ我慢して下さい。すぐに熱を下げてあげますから」
 べろりと指を舐めると、三越の膝を立て開かせる。そしてひくひくと収縮する後孔にゆっくりと指を埋める。
「ああっ!」
 三越はシーツを握りしめ、下肢を痙攣させる。
 後孔は熱く潤んでいて、動かすとくちゅくちゅと濡れた音がする。
「三越さん…何でこんな濡れてるんです?」

更新日:2015-05-05 16:37:53

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