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深夜2時。
寄せては返す波の音が全てを歓迎し、許してくれる。
男は、スーツ姿で現れた。目の前に広がる大海原。人の気配など全くない、この浜辺。立ち入り禁止区域とされている杭をくぐりぬけ、少し歩くと、この聖地につながる。

目の前には、海。海。海。
今、この世界には、私と海しかいないのだ。そう、私と海だけの秘密の場所。誰も見ているはずなどない、この場所。
大丈夫。妻には出張と言ってある。
男は、もう、ビンビンにエレクトしていた。下腹部のうずきが抑えられない。母なる海。自分の真実の姿を見せる時が来た。
海は誰にも告げ口をしない。これは、私と海の約束だ。
男は、自分の頭部にガシリと手をやり、耳の上あたり、側頭部の髪に指をすべりこませた。この瞬間の手触りだけが、少し嫌いでもあった。

男は、指にかかる自分の毛髪ではないものの感触の不快感を少し確かめたあと、勢いよく、両の手を天につきあげた。
「これが!わたしの!海の、愛し方ーっ!」
男の顔はとろける。興奮はさらに波打つ。
手に持ったカツラを再び元に戻す。はぁはぁと、自分の興奮している声がわかる。
はぁはぁ、ザザー、はぁはぁ、ザザー。海も興奮している。
男はもう一度叫びながら、勢いよく、両の手を天につきあげた。
「この姿は、私と海だけの!秘密ーっ!」
はぁはぁ。ザザー。はぁはぁ。ザッパーン。はぁはぁ。ザッパーン。海も興奮している。男はかけているメガネの下で目がトロトロととろけ、メガネと一体になるような、不思議な感覚を覚えた。
よだれをダラダラと流すことをやめようとしなかった。
男は繰り返した。
「これが!私!新庄靖幸の!真の姿ーっ!」
「海よ!お前以外は、誰も、知らない!女房でさえ、知らない!この姿を!お前に見せよう!これが、新庄靖幸の!真の姿じゃーっ!あーっ!!」
はぁはぁ。ザッパーン。はあっはあっ。ザッパーンザッパーン。はあっはあっ。ザッパーンザッパーン。
はあっはあっ。はぁはぁ。はあっはあっ。ザッパーンザパーン。はあっはあっ。もっとカツラのカミングアウトを、はあっはあっ、見たいかい?ザパン!本当かい?ザパン!はあっはあっ!熱意が、はあっ、足りないねえ。ザパンザパーンザッパーンザッパーン!そんなに見たいかい?ザパーン。本当かい?ザパーン。本当に本当なら、本当のザパーンを聴かせてくれよ。ザッパーンザッパーンザッパーンザッパーン!はあっはあっ!見たいかい?ザパン!本当かい?ザパン!じゃあいくよ!

「これが!この俺と!海との!セックスだあーっ!!!」
男は果てた。快楽がいつものように襲う。アホである。と、その時である。ロードライトガーネットの光が男の体を包みこんだ・・・・

更新日:2015-05-04 13:14:50

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ベロにちょっとだけあててからかける男