• 12 / 116 ページ

ここは、東京都内にあるコンビニエンスストア。
「す、すいませーん。あ、いや、あ、さ、さき、こちらのお客さんどうぞ。」
挙動不審の40歳前後の男は、店員に話しかけたと思うや否や、レジに向かう女性客に気づき、譲った。
なんだか気持ちの悪いお客さんだなあと、思いながらも、ここのコンビニエンスストアの看板娘を自認する兵藤満里奈は、レジを打っていた。
「あ、はい?お待たせいたしましたあ。」
満里奈は、ニコリと微笑みながら、話しかけた。
「あ、あの、そ、その、えーと、爪切り、というか、えーと、爪切りではないんですけど、爪を磨く専門のヤスリ?そういうのって、ないですかねえ。自分でも探したんですけど。」
「爪を磨くヤスリ、ですか?」
「は、はい、あの、大リーグのピッチャーとか、爪の感覚を大切にするから、えーっと、爪を切ってしまうと、毎日爪の長さが変わるじゃないですか?だから、ヤスリで毎日磨くタイプのピッチャーがいるんですよ。そういうのを、置いてないかなあと思って。」
お前は大リーグのピッチャーじゃないだろうと、心の中で思いながら、満里奈は、一応爪切りの置いてあるところを案内した。
「いやぁ、ないと思うんですけど、あるとしたら、こちらと言いますか。はい、ここぉ、ですかねえ。爪切りとか、はい、なさそうですね。そういうヤスリは。」
「そ、そうですかあ。これは、爪切りですもんねぇ。この爪切りと、この爪切りは、なんで値段違うんですか?」
「え、な、なんでですかねえ。まあ、メーカーが違うみたいですね。」
「は、はは、そ、そうですよね。め、メーカーが違うからですかね。その横にあるのは、これは、なんですか?」
「これは、綿棒ですね。」
「そ、その綿棒の横にあるのは、な、なんですか?」
ふぅと、ため息をつきながら、満里奈は答えた。
「コンドームですね。」
「じゃあー、それください!」
「はあっ?」
満里奈は絶句した。
「そ、その、コンドーム、く、ください。し、親切に探してくれたのに、聞くだけ聞いて、なんも買わんと帰るの、悪いじゃないですかぁ(笑)」

その時、店の棚の前出しをしていた店長のベルトのバックルから、ロードライトガーネットの赤い光が発せられ、男の全身を包みこんだ。

「いーっひっひっひっ!こいつぁ、上物だあ!コンドームを、最初から買いたかっただけだろーっ!!きーっひっひっひっ!くきょーっ!きょっきょっきょっ!なんか、買わないと悪いから買うなら、ガムでいいだろがーっ!なんか、買わないと悪いから、コンドーム買う?そんなやついるかーっ!きーっひっひっひっひっひっ!こいつは、海に向かってカツラをとってた、あいつ以来の超大物だーっ!そして、これは、自分自身へのご褒美だーっ!満里奈ちゃわーん!」
店長の姿をした、悪の軍団員は意識朦朧としている満里奈に激しいキスをし、汚い舌をねじこんだ。

卑劣な悪の組織、ガーネット軍団の一員は、日常生活で様々な職種として、溶け込んでおり、いつどこで、変な奴が拉致されるか、誰にも予測不可能なのだ。
そして、ガーネット軍団の世界征服の布石は、まだまだ打たれていくのであった。

更新日:2015-05-04 13:24:47

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

ベロにちょっとだけあててからかける男