• 7 / 25 ページ

家族構成

【トップ】

飼い主の男の人と女の人、猫のジョンとダックとショーン、誰1人として血の繋がりはないが同じ家に住んでいて、それぞれが違う個性を持っている。
ジョンは親分肌でボスとして君臨している。女の人はジョンにメロメロ。万が一にでも、間違えて女の人の足がダックやショーンに当たろうものなら、ジョンは女の人を叱りに飛んで来る。寝ていても、弟達の悲鳴のような声がしようものなら犯人を許すことはない。しばらくお説教を聞かなければならないルールが、飼い主達の知らぬ間に作られていた。

ダックは女の人が料理をしている時によく付いて回っている。いつもは足音を立てて歩くダックだが、さすがに換気扇の音には敵わない。お皿に料理を盛り付けて後ろを振り返った時、ダックの存在に気づかずに足がダックに辺ることがある。
D「うわっ‼」ビックリして走り去る。
ごめんね‼と女の人が言った途端に、ジョンが目の前に立ちはだかる。
J「ダックを蹴飛ばしたの!? 気を付けてくれないと、ダックが怪我しちゃうんじゃない!? あんなにビックリ仰天して猛ダッシュしてったし‼ 分かる!? ………」
永遠と言葉の壁を感じながら、しかし怒られている実感をしながら、女の人はジョンの説教を受ける。ジョンの怒りが治まった頃、ジョンの頭を撫でながら謝り、肩を落としてダックにも謝りに行く。男の人も然りで、まずはジョンからお叱りを受け、その後に被害者のところまで行き謝罪をする。もちろん必ず頭を撫でながら謝るのが恒例となっている。
そんな責任感と正義感を持ち合わせたジョンが家を仕切っているのだ。飼い主ですら、ジョンに従っている。

まだ産まれて数ヵ月、この家に来てしばらくした頃のこと。ジョンはベランダで涼んでいた。
J「何かヒラヒラしてる」
茶色い何かが飛んでいる。しばらく見続けていると、ベランダの床に落ちた。いや、止まった。
J「おぅ、捕まえたぁ‼」
その茶色いものは、ベランダに敷かれた人工芝とジョンの右手の肉球にしばらく挟まれていた。
J「んー、どうしよぅ…」
狩猟本能により何か動くものを捕まえたが、その後の処理が分からない。訴えるべく、部屋の中に居る女の人を見る。
ジョンの視線に割りとすぐに気付いた女の人は、急いでベランダに居るジョンのところへ。
J「凄くない!? 捕まえたぁ」
女の人がジョンを見ると、ジョンの右手の下から何か茶色いものがはみ出している。はっ‼ 急いで左腕でジョンを抱き抱えながら、右手でジョンの右手を“大きな蛾”から引き離した。
蛾は触っちゃダメなの…と言いながら、ジョンを抱えて急いで洗面所へ。もちろん網戸はしっかりと閉め、あの忌まわしき巨大蛾が部屋の中に入らないように対策をした。洗面所に着くとお湯を出し、ジョンの右手を石鹸でよく洗った。
J「嫌だ、嫌だ」
嫌がって右手を引っ込めようとしたが、しっかりと必要以上に洗われた。その後、タオルドライされ、その日はもうベランダには行かせてもらえなくなった。

そんな野性味があるなかないのか、よく分からないジョンも今や立派に家族のトップをしている。おっちょこちょいな部分はちゃんと残っているので、皆から慕われつつ、可愛がられている。

更新日:2015-04-26 19:00:09

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

3兄弟のネコ ~血の繋がりはありません~