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二人の問いに、絹枝は躊躇せず答えた。
「と、思うでしょうが、読んでは見た物の、内容は判ったけど、謎解き見たいに成って、問題の物は何にも判っていないよ。丁度良いわ。貴女達も手伝ってくれた方が早いわー」
「じゃもう、私達が読んでも良いって事だわ。絹枝さんが極秘に扱っていたから、今まで遠慮していたけど、もう必要ないねー」
恵子と千鶴が、二冊目の、袋綴じされた便箋紙を開くと、絹枝が急に立ち上がり電灯を付け、明るくした。
「それじゃ…私が一度読んでいるから、判り安く説明し乍ら判読して上げる。二人が読んでいたら、恐らく、朝になってしまうよ。読むには読めても、理解できない文書が多いからね」
そう言って絹枝が、二人の間に入ると、便箋紙の頁を捲り、所々、指差しては話しをし始めた。
横になった儘、三人は顔を付き合わせ、二冊目の金の鶏に関する生い立ちから読み始めた。
その市原順一が綴った便箋紙は=覚え書き第一章=と記してあった。
更新日:2016-07-10 04:46:11