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そりゃあ、灰原と部活とどっちが大事かと聞かれたら、
『灰原だ』と即答できる。

部活に関してはそれほど熱心ではない。

けれども───

彼女を誘うのだってそれなりに準備と勇気がいるんだよ。

そう、彼女に断られた時のショックを考えると簡単には口にはできない。

それに────

彼女と旅行したいから部活を休むと歩美に言えるわけねーだろうが……。
部活をサボるには歩美の協力が必要不可欠なのだ。

別に旅行に行きたくないわけじゃない。
むしろ、行きたい。

「哀ちゃんも新ちゃんが誘ってくれるのを待ってると思うわよ」

どこかへ遊びに誘って欲しいようには見えねーけどなぁ。
あいつ、暇があるとすぐ地下室に籠っているんだが……。

「母さん、灰原から何か聞いてるのか?」

「それがね、哀ちゃんって口が固いのよねぇー。
新ちゃんのことは聞いても教えてくれないの。色々と知りたいのに……」

(おいおい、灰原にいったい何が聞きたいんだよ!
てか、まだ飲み続ける気かよ)

母さんはいまだに酒の入ったグラスを握り締めている。
今夜は上機嫌のようだ。

更新日:2018-06-17 21:21:31

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