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「灰原、レポートはどうしたんだよ?」

「もう終わったわよ」

(さすが、灰原! 仕事が早いぜ)

一晩中かかると諦めていたから、ニンマリと笑みがこぼれそうになる。

やっぱ持つべきものは天才の彼女だな、あはははっ。

俺は彼女が天才であることに感謝した。

「それじゃあ、明日休みだし……今日は泊まってくか?」

話のついでにさりげなく彼女を誘ってみる。

「ええ、いいわよ」
「へっ?」

自分で誘っておいて灰原の返事に間抜けな声を出していた。

(え? マジでいいのかよ……)

彼女の返事にちょっと驚く。

実は灰原に泊って行けよと誘ったのは初めてじゃない。
その度に「博士になんて言うのよ」と断れていた。

「博士は?」
「泊まりがけで発明展へ行ったわよ」

(なるほど、そういうことか……)

小学生の頃も博士が泊りがけで出かける時は、俺が博士の家に泊まっていた。

小学三年生に上がった頃から黒の組織の活動が活発化してきて、
灰原にも組織の連中が何度か接触を試みた形跡もあってか、
彼女をできる限り一人にしないようにと……
俺や博士、それからFBIの赤井さんらで見張っていたのだ。

当時はまだ彼女を好きか嫌いかといった言葉で、
はっきりと意識するようなことはなかった。

幼児化の運命を唯一共有する相手としてごく自然に隣にいて、
身体も小学生だったし、二人で一緒に平気で同じベッドでも寝ていた。

といっても、最後に二人で一緒に寝たのは小学四年生の頃だったが……。

しかし、今は当時とは別の感情でもって彼女と一緒にいる。

しかも、中学生に上がったし、まだ十分大人とは言えないが、
無邪気な子供ではなくなりつつあった。

(あいつの泊まっていくという返事をどう受け取りゃあいいんだよ)

子供の頃からの習慣なのか、まさか恋人として夜を過ごそうと言うのか……。

更新日:2018-06-17 01:17:41

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