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小説

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【中学一年生 四月】 曖昧な関係

「江戸川君、江戸川君、ほら……早く……起きてよ……」

何度も身体を揺り起こされているのに、俺を呼ぶ声が心地よく、
なかなか目を開けることができない。

声のする方に手を伸ばすと、誰かが俺の手を握り締める。

その手は大人の手にしては小さくて、
でも、とても暖かくてやわらかった────。

(つーか……これ、灰原の声じゃねぇーか。
なんで俺の部屋に……夢か……いや……)

『そうか、灰原が帰ってきたんだぁー!』

思い出したら、一気に目が覚めた。
慌てて起き上がってみれば、灰原が俺の手を握っている。

「やっと起きたわね。今日はサッカー部は遠征して、
練習試合があるんでしょ?」

俺は朝が苦手だ。
面白いミステリー小説があると、つい時間を忘れて夜更かししてしまう。
まだぼんやりとした頭で灰原をじっと見つめる。

俺の視線に気づいたようで……

「歩美ちゃんにね、『時間厳守だから、コナン君を起こしてね!』と頼まれたのよ」

歩美はサッカー部のマネージャーをしている。

「朝食の用意ができてるから……早く着替えて降りてきてよね」

灰原は自然と手を離すと、そう言って部屋から出ていった。

ついさっきまで彼女と繋いでいた手の平のぬくもりが……
灰原がそこにいたのは夢ではないと教えてくれてる気がして、
俺は手の平を見つめながら、一人でにやけていた──。

更新日:2016-10-03 01:01:31