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第三章 このままずっと……

ジョディ先生に指定されたボストン空港に到着したのは深夜0時近かった。

機内ではほとんど眠れなかったが、久しぶりの海外で興奮しているせいか、
真夜中でも頭が冴えている。

スーツケースを転がしながら軽い足取りで到着口を出てくれば、
どこからともなく俺の名を呼ぶ声が────

「新ちゃーん、こっちよー!」

(あの声は…………)

聞き覚えのないはずがない。
声の主に目をやると、俺はふうと肩から息を吐き出して苦笑した。
母さんがにこやかな顔で手を高く振り上げている。

(……だよな。母さん、どこにでも出没するんだな、あははっ)

入院中は毎日、母さんが付き添ってくれたが、退院後は両親はすぐにアメリカに戻り、
母さんと顔を合せるのもやはり四ヶ月ぶり。

「母さんがなんでここにいるんだよ」
「なんでって……新ちゃんを迎えに来たんじゃないのー」

「はあぁ? ロスからわざわざ迎えにきてくれたのか?」
「違うわよ。いまボストンに住んでるの!」

「母さん、いつボストンに家を買ったんだよ?」
「ふふふっ、四か月前よ、買ったんじゃなくて借りたのよ」

要領を得ない会話に俺はこっそりため息をつく。

(へぇー、四ヶ月前ねぇー……でも、それって……いや、うーん……)

しかし、俺の頭に何かが引っかかった。

空港の外では母さんの車ではなく黒い高級リムジンが待っていた。

「早く新ちゃん、乗って、乗って!」

強引に俺をリムジンに押し込むと……

「新ちゃん、今夜は遅いからホテルに泊まってね! 明日十時に迎えにいくわ」

俺が文句を言う前に母さんの合図でリムジンが発車してしまう。

「おいおい、待ってくれ」と窓から外を見れば、
母さんは再び笑顔で手を振っていた。

(はあー、いったいなんなんだよ)

母さんは母さんだから考えるだけ無駄だが……。

(疲れた、早く寝てぇー)

今になってロングフライトの疲れがどっと押し寄せたらしい。
俺はリムジンの柔らかなシートに背中を預けると、
何も考えずに目を閉じた。


翌朝、約束の時間にロビーに行けば、ホテルのエントランスには、
昨夜、俺を乗せたリムジンが今日も待機していた。

(ふーん、あれに乗れってことか)

運転手と簡単な朝の挨拶をかわすと、どこへ向かうのか車が走り出す。

更新日:2017-07-28 11:24:47

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