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ここに、一人の少女が居る。
少女は自分がごくごく普通に生まれると信じ、それを疑う事も無かった。
少女は二人の少女と手を繋いでいた。
少女達は約束していた。

「生まれたら、きっと三人で笑い合える未来を迎えよう」と。

だが、どうだろうか?
一人の少女は気がつけば何処かに姿を消し、もう一人は離ればなれになり、最後には少女一人が残された。
残された少女は見えない目で二人を探した。
見えない闇をさ迷いながら、必死になって名前も知らない二人を呼んだ。
涙を流しながら、喉を潰しながら、血を吐きながら。
そして遂に少女は力尽き、倒れてしまった。
そこでようやく少女は気がついた。
自分が流していた涙は、涙なんかじゃなく、真っ赤な血だと。
目が見えなかったのは、血のせいだと。
喉が潰れたのは叫んだせいじゃない、自分が二人を見失ってしまった罰だと。
少女はようやく理解した。
自分はきっと、この先、誰の手も握ることはできないんだと。
私が彼女を最後に見たのは、今から何年前の話だっただろうか?
彼女は最後まで闇をさ迷いながら生まれた。
世界を呪いながら、全てを憎みながら、誰かを探しながら。
彼女は生まれながらにして、逝っていたんだ。

更新日:2014-12-20 19:47:28

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フリーダムウォーズ -戦士達へ送る唄-