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小説

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定めの邂逅

 荒廃した世界、リベルダリム。
 僅かに残された肥沃な土地を求めて、人々は争い、奪い合う。
 混沌とした世界で、人々は一筋の光明を見出した。
 既に滅びた王家の秘宝『イプトゥリカ』。それは枯渇した大地に恵みの雨をもたらし、実りの木々草花を茂らせ、全てを育む太陽を呼ぶと言う。
 世界中に広まったその話は各国を動かし、秘宝を求め、新たな争いが生まれた。
 これは、秘宝『イプトゥリカ』を巡る争いの中を生きる者達の物語。


 リベルダリムは大きく分けて三つの大陸がある。そのうちの一つ、ラーザ大陸はグラバルダ帝国にほぼ掌握されていた。その帝都にある軍事施設で、アスマは部下の訓練風景を見つめていた。争いが絶えない世の中で、鍛錬を怠る事は出来ない。
「アスマ師団長、総裁がお呼びだ」
「はっ、直ちに」
 現れた上官に敬礼をし、部下へそのまま訓練を続けるよう指示を出し、アスマは上官の言葉に従い建物の中へと入る。
 石造りの廊下を、総裁のいる執務室へ向かうアスマは緊張していた。一介の師団長が総裁に呼び出されるなど、滅多にない事だからだ。執務室の扉の前に立つ衛兵へ総裁に呼び出された事を伝えると、衛兵はアスマを中へ通す。
「アスマ、参りました」
 足を踏み入れたそこには、静かに窓際へ佇むグラバルダ帝国軍総裁、ヴェルハルトの姿があった。彼はアスマの方へ向き直り、小さく頷く。
「ご苦労。早速で悪いが、君に頼みたい事がある」
「はっ、何なりと」
 ヴェルハルトはアスマへ歩み寄り、彼の目を見つめながら口を開いた。
「最近、トマール周辺で秘宝を嗅ぎ回っている連中がいるらしい。他国の者かも知れん。捜し出し、生きて捕らえよ」
 トマールは帝都から南に位置する大きな街だ。そこに常駐する兵が既に接触したが、捕らえる事が出来なかったと報告されている。接触した兵士の話によると、その連中は少年が二人、女が一人の三人組で、旅人のようだったという。与えられた任務に、厳かに敬礼すると、ヴェルハルトは頷きで答えた。

更新日:2014-11-06 19:27:43