官能小説

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十位は見た

 はじめてお目にかかりますでしょうか。鎧鏡家奥方様候補雨花様専属呉服之間(ごふくのま)、梓の十位でございます。呉服之間というのは、早い話が、衣装係でございます。
 雨花様のお洋服は、今では、僕がデザインした物が一番多くなっているのではないでしょうか。もともと家業の手伝いで、洋服のデザインをしておりましたもので、ついつい既製品を選ぶよりも、雨花様にお似合いになる服を、自分で作ってしまうことが多くなってしまいました。
 雨花様は、僕が思い描くモデルとして、理想的な方でございます。手足が長く、背筋が伸びていらして、痩せ型。中性的な外見で、僕が思った通り、何を着せても、上手に着こなしてくださいます。
 そのようなお方ですので、外から見える服装に関しましては、何の憂慮もございません。
 しかし…ただ一つ、雨花様の呉服之間として、気掛かりなことがございました。普段は見えない物…”下着”でございます。
 具体的に申しますと、下着の中でも特に、パンツ…でございます。下着と靴のオシャレが出来る、それが本当のファッショニスタと、僕は考えておりますので、雨花様にどのようなパンツをご用意したら良いものやら、当初はありとあらゆる型と色のパンツをご用意させていただいたものです。
 雨花様が好んで履かれるのは、柔らかい素材の普通のボクサーパンツのようなのですが…雨花様の呉服之間としての僕が望む理想的なパンツは、雨花様の好みは関係ございません。
 パンツは、履くご本人様よりも、脱がす方のための存在…そうは思いませんか?
 脱がせて脱がせて、ようやく身に着けている物はこれが最後!という時、ラストの一枚はパンツという方が多いのではないでしょうか?靴下が最後という方が多いのでしょうか?いやぁ、圧倒的多数は、ラスイチパンツ派ではないでしょうか?僕は完全に、ラスイチパンツ派でございますので、パンツは、それはそれは大切な存在なのでございます。
 好きな相手のパンツを最後に剥く……これが男の浪漫でございますよ?
 そんな最後の一枚が!脱がせて脱がせて、ようやくお目見え出来た、普段見ることの出来ない最後の一枚が!自分の好みとかけ離れていた時の落胆たるや、いかほどかおわかりになりますでしょう?
 ちなみに僕は、パンツの布地が大きければ大きいほど、剥がしてやりたい衝動に駆られる派でございます。
 と、いうことで。雨花様付き呉服之間になったその日から、若様の、パンツの好みが知りたくて知りたくて…。どうにか若様の好みのパンツ情報を得られないものかと、ずっと思案していた次第でございます。
 若様の好みのパンツを知り、雨花様にそのようなパンツをご用意させていただけますれば、若様はもちろんのこと、雨花様にも喜んでいただくことになりますでしょう。呉服之間として、こんなに幸せなことはございません。


 さて。喉から手が出るほど、若様のパンツの好みが知りたいと思っていたある日のことでございました。
 夜、のんちゃんが…あ。のんちゃんというのは、一位様のことで…。あ、大変余談ではございますが、僕と一位様とは、幼少の頃よりの知り合いでございます。簡単に申しますと、うちは、一位様のご実家の、直属の主君になるようでございます。僕のうちは一応、位は下のほうなのですが、鎧鏡家の直属の家臣でございます。一位様のご実家は、我が家の直臣でございますので、鎧鏡家からすると、陪臣(ばいしん)と呼ばれる関係で…。あ。難しい話はこれくらいに致しましょう。
 ある夜、その一位様が、首を捻りながら、僕が一人でお茶をすすっておりました側仕えの控え室に、入っていらっしゃいました。
 その日、世の中はバレンタインデーで、若様が雨花様に、和室をプレゼントした日でもありました。若様は、早朝より梓の丸にいらしておいでで、一位様が控室にいらした時間は、雨花様が高遠先生の授業をお受けになっているだろう時間でありました。


「どうなさいました?」


 僕の存在に気付いていないような一位様に声を掛けました。


「あ…えぇ、いえ。」


 僕の姿を見て、うろたえたような一位様の手を取ると、一位様は体を震わせました。何があったのだろう?幼少の頃よりの知り合いですので、一位様のほんの少しの変化でも、どこか様子がおかしいのは、僕にはすぐにわかります。


「何がありました?」

「あ…。」


 一位様は、そっと僕の手からご自分の手を抜いて、胸の前で拳を握りました。


「ん?」

「…あの。どなたにも、言わないでくださいね?」

「ええ。もちろん。」


 笑いながら、大きく頷きますと、一位様は少し顔を赤らめて、『実は先程…』と、小さな声で話し始めました。

更新日:2014-12-30 17:43:04

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