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『銀河の瞳を求めて3000里』



「今日も盛況だったな、アルデス」

 『異世界コロシアム』の後片付けをしながら、明るい灰色の髪の男が隣の黒髪の男にそう言った。
 アルデスと呼ばれた男も後片付けをしながら、小さく頷いた。

「遊一の息子もいいもの持っていたしな、中々楽しめたさ」

「そうだな、っと」

 灰色髪の男、『白月 竜閃』は片付けを終えた。

「俺はもう休むけど、アルデスはどうする?」

「CPUの調整もしたいしな。 もう少し残る」

「そうか、じゃあお先に」

 そう言い残し、アルデスはパソコンへと向かう。

「さて、そろそろ新しいCPUパターンでも増やすか」

 今まで設定したデュエリストのリストを見ながら、アルデスはどんなデュエリストを追加しようか思案する。

「……また異世界でデュエリスト探すのも良いな」

 等と考えていると、急にコロシアムが振動を始めた。
 建物が悲鳴をあげ、アルデスに訴えてくる。

(……地震か?)

 だが、異次元の狭間にあるコロシアムで地震というものは起こりうるものなのか……。
 と、次の瞬間に目も開けていられない程の閃光と共に、1人の青年がコロシアムの真ん中に降り立った。
 否、落ちてきた。

「いててて……もうちょいマシな送り方ないんか?」

 尻餅を突いた青年は、尻を擦りながらそうボヤいた。
 金髪のウルフヘアに、右が朱で左が蒼のオッドアイ、そして目元だけを隠す覆面を身に付けた奇妙な青年だ。

「なんだ、お前は?」

 警戒しながらアルデスは青年に言葉を掛ける。

「ん? 俺か? 俺はカグラ! 太陽の都に名を轟かす大怪盗や!」

「怪、盗?」

 あまり聞かない名称にアルデスは怪訝な顔を見せる。

「怪盗知らんのか? か・い・と・う!」

 人を憐れむような表情で「リピートアフタミー?」といってくるカグラと言う男に、アルデスは軽い頭痛を覚える。

「言葉の意味くらい知ってる」

「そら良かった。 さて、聞きたいんやけど、ここ何処や?」

 急に話題を変えてくるカグラに、アルデスは答える。

「此処は『異世界コロシアム』、次元の狭間に存在している場所だ」

「次元の狭間、ねえ。 パッと見ただのドームやけども」

 じろじろとコロシアムを見回すカグラ。

「で、怪盗は何の用でここに来た? それより、どうやって此処に――」

 アルデスが言い終わるのを待つことなくカグラは1枚のカードを見せつけた。

「コイツが俺を此処に導いた。 コイツが此処に来た手段であって目的でもある」

 カグラの持つカード、それはアルデスもよく知っているカードだった。

「なっ【銀河眼の光子竜】ッ!?」

「知っとんのか?」

「知ってるもなにも」

 アルデスは自身のデッキから【銀河眼の光子竜】を取り出し、カグラに見せる。
 その瞬間、カグラの目付きが変わったのをアルデスは感じ取った。

「お、なんやなんや運良いなあ。 まさかこんな早く見つかるなんてな」

「どういうことだ?」

「お前の銀河眼、頂くで!」

 そうアルデスを指差しながら、カグラは決闘の準備を一瞬で整えた。

「銀河眼を……頂く?」

「せや! そのために銀河眼の力使て異世界まで来たんや!」

 複数の銀河眼を集め、何をする気なのか。

「決まっとる! 我がライバル、真木波君を倒すためや!」

 ズドーンという効果音が似合いそうなドヤ顔を披露しながら、カグラはアルデスを指差した。

「ライバル、か」

 それを聞いてアルデスは自分のライバル、『暁 遊一』を思い浮かべた。
 絶対に負けたくない相手がいる、という気持ちは分からないでもなかった。

「だが、銀河眼を渡すわけにはいかない」

「ええよええよ。 欲しいもんは奪うのが俺の主義や!」

 両者は睨み合い、D―ゲイザーをセットする。
 二人を中心に世界が隔離され、決闘の舞台が出来上がる。

「「決闘!」」

アルデス:LP4000 手札5
カグラ:LP4000 手札5

「先ずは俺のターン、ドロー」

 アルデスはカードをドローすると、魔法カードを使用する。

「魔法【トレード・イン】発動。 レベル8の【銀河眼の光子竜】を捨てて2枚ドローする」

「銀河眼捨てるんか!?」

「黙って見ていろ」

 カードを2枚ドローしたアルデスはデュエルを進める。


「【仮面竜】を召喚して除外。 【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を特殊召喚」

 仮面を着けた竜を犠牲に現れたのは黒金の鎧を纏う竜である。
☆10【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】ATK2800

「レダメ、かなるほろ」

「知っているなら話は早いな。 俺は墓地の【銀河眼の光子竜】を特殊召喚」

更新日:2014-09-28 23:01:54

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