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チラリと右隣の大野さんを見る。
俺の目線は下。
大野さんはべったりと机に張り付いている。
たまに見るだけなのに、必ず大野さんと目が合う。
大野さんが微笑んで、俺が視線を外して、の繰り返し。

大野さんの隣には櫻井さんがいて、たまに俺と目が合う。
俺と目が合うと、櫻井さんが先に目をそらす。
この人、大野さんのことが好きなのかな?
時たま大野さんをじっと見てるんだよね。

櫻井さんの隣には、相葉さん。
相葉さんと目が合うと、この状況どうなの?的な視線が俺と交わる。
お互いに、微妙に首を傾げつつ終わり。

チラリと左隣をみれば、松本さんは熱心にノートをとっていた。
この人、真面目だね。
俺たちのことは、気にならないんだろうか?
俺の視線に気づいたのか、松本さんが俺を見てノートに書き込む。

『俺は傍観者だから、あまり気にしないで
二宮くんは二宮くんの思う通りにすればいいよ?』

そうだな。
俺は俺の思うままに。
松本さんのノートに、悪いと思いつつ書き込む。

『ありがとうございます』

松本さんが、ふ、と笑うと俺と笑い合う。
その時、右手首を誰かに掴まれた。
見れば、大野さんが少し怒った顔で俺を見ていた。
この人が怒ってるとこ、始めて見た。
今まで俺にはずっと笑顔だったもんね。

「二宮くんは俺のものでしょ?俺以外の奴と笑いあったりしないで」

呟きは、たぶん松本さんも、櫻井さんも、相葉さんにも聞こえただろう。
何?その独占力。
俺はお前のものになってないよ。

「俺は大野さんのものじゃない」

大野さんは一瞬傷ついた顔をして、俺から目をそらした。
大野さんが傷ついた顔を見たのも、俺より先に視線をそらしたのも、始めてだった。
それからは俺が見ても、大野さんとは目が合わなくなった。

いいことじゃないか。
これでこいつが俺のこと嫌いになってくれればいいじゃないか。

でも、心とは裏腹にもう一人の俺が叫ぶ。

見ろよ、俺を。
もう一度、俺に笑ってくれよ。
大野さんに触ったら、こっち見てくれるかな。

手を伸ばそうとして、引っ込める。

どうしたんだよ、俺は。
一体、俺はどうしちゃったんだよ!

更新日:2014-09-29 11:35:47

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