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イントネーションレッスン

 優雅な物腰、柔らかな明るい髪にキラキラと輝く整った顔立ちはまるで外国の王子様や。幼い頃から周囲に『ヤクザ顔』と恐れられる強面の自分とはあまりにもかけ離れている。こんな人が自分のターミナルデパートだなんて何かの間違いやないかって思うことはしょっちゅうや。その証拠にあの人、しょっちゅう全国飛びまわって、本店であるはずの難波に全然おらへん。たまに帰ってきてもすぐまたどっかに行ってしまう。ずっとここにいて欲しい、それが本音や。せやかてそんなんは無茶なのはわかっとる。だけど、もう少しだけ、僕に時間を割いてくれてもバチ当たらへんと思う。
 あの人は僕の気持ちも全部お見通しで、その上で掌でコロコロ転がしとるんや。ほんま性質が悪い。
「南海?なに怖い顔してるの?」
「…これが地です。髙さん、毎回会う度、同じ事言うのやめてくれます?」
「眉間に皺が寄ってるよ?」
 バスローブ一枚羽織っただけの姿の髙島屋が楽しそうに南海の眉間を押す。
「誰のせいやと思っとるんです?」
 眉間を押す髙島屋の手首を掴み、そのままぐいっと引き寄せる。
「わっ!」
 南海はバランスを崩し膝の上に乗る髙島屋の腰に腕を回して抱き寄せた。
「危ないなぁ」
「髙さん、今夜は泊っていきますよね?」
「あ、無理。最終の新幹線で東京に戻る」
「なんでやねん!今日こそ車内アナウンスの標準語イントネーション教えてくれるって言うてたやないですか!また約束破るんですか?」
「人聞き悪いなぁ。何度も言ってるけど、教えるって約束はしたけど、期日は設けてなかったはずだよ」
「いっつもそんなん言うてはぐらかして!ほんまは教える気ないんとちゃいます?」
「そういうこと言っちゃうわけ?大体、今日は君がいけないんだろ?ただでさえ時間がないのに、部屋に入るなり私の事を押し倒したりするから…それさえなければちゃんと教えてあげられたのに」
「そんなん、久しぶりやし、泊ってくもんだと思ってたから……」
「それは君が勝手にそう思っただけだろ?私は泊るだなんて一言も言ってないよ?」
「せやけど……めっちゃ久しぶりに来てそれはないんとちゃいます?」
 向かい合わせで膝の上に乗る髙島屋をうらみがましく見上げると、嫌なものでも見たみたいに眉根を寄せた。
「怖いからほんと、やめてくれる?やくざに睨まれてるみたいだから」 
「好きでこないな顔しとるわけやないです」
じとり、と睨む南海に、髙島屋は大きく肩を落とす。
「あー、ほんと、君は我儘だな」
「どこがや!」
「だって京王はそんな我儘一度も言った事なかったもの。さみしくても絶対さみしいって言わないの。健気でかわいかったな~。誰かさんとは大違い」
京王と比較された南海は、不快感を露わにしながら髙島屋の顎を掴む。
「ほんまに……憎まれ口しか叩けへんのですかこの口はっ!」
 苛立つまま、噛みつくように高島屋の口を塞いだ。
「んっ」
 一瞬、目を大きくしたものの、髙島屋はすぐに猫のように目を細め、積極的に舌を絡めてくる。もつれるように絡む舌は熱く、そしてひどく甘い。主導権を握ろうとしかけたのも束の間、すぐに逆転してしまう。解かれた舌はいつの間にか南海の口腔にぬるりと忍び寄り、そのまま歯列をなぞり、慌てて押し返そうとすればきつく吸い上げられる。貪るつもりが逆に貪られ、唇が離れた時、息が上がるのは髙島屋ではなく南海の方だった。
「まだまだだね」
 余裕たっぷりに微笑み、ぺろりと唇を舐める髙島屋の仕草が妙に婀娜っぽく、南海の情欲が駆り立てられた。
「髙さん」
「え?ちょっと南海……」
 南海は髙島屋の腰を掴むと、そのまま後ろに自身の硬くなった性器をあてがい、ゆっくりと押し挿れる。
「ば…っ!」
 先程まで南海のモノを銜えていたせいか、多少の抵抗はあるものの、柔らかく包み込むように飲み込んでいく。
「この馬鹿っ!折角綺麗にしたのに」
「あとで責任もって僕が綺麗にしますから」
「っ……」
 下からゆっくり突き上げると、髙島屋の体がピクリと震え、微かに喘ぎが漏れた。快感に飲み込まれまいと伏し目がちに体を揺らす姿から色気が匂い立つ気がした。
「南海…っ、いい加減にしないとほんとにJR乗り遅れる…ふっ…」
 腰を上げて抜こうとする高島屋の背に腕を回し、がっちりと押さえつけ、無理やり座らせ腰を打ち付ける。
「あ……っ」
「JRなんて乗らんで、髙さんはおとなしく僕に乗ってればええんです」
 新大阪からJRの新幹線に乗らんと帰られへんのはわかっとるけど、やっぱり髙さんの口からJR 言われんのは腹立つわ!

更新日:2014-08-28 22:58:14

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