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最後の手紙

 お久しぶりです、黒めがねさん。正直、もう返事は来ないと思っていました。なので、また手紙をいただけてとてもうれしいです。
 珍しく、嬉しい報告が二つあります。
 一つ目。あの後、一週間程インフルエンザに罹って寝込みましたが、幸い試験に重なることなく無事進級が確定しました。
 二つ目。伊勢丹との歪んだ関係が無事解消されました。
 試験も終わって落ち着いた頃、伊勢丹を捕まえました。彼から以前の様なピリピリしたオーラが消えていたので声をかけやすかったのも幸いしました。
「ごめんね、伊勢丹」
 再度謝罪し、僕は伊勢丹をまっすぐ見つめて言いました。
「僕はもう、きみとは寝ない」
 伊勢丹は一瞬大きく目を見張りましたが、すぐに苦虫をかみつぶしたような顔をして
「俺だってお前を抱く気なんかねーよ」
 と蹴りを入れてきました。
 本当に乱暴な男です。
「いったーい!何で急に蹴るんだよっ!」
「そこにケツがあったからに決まってんだろ」
 そう言って笑う伊勢丹は、全てをふっきれたのか本当に清々しい笑顔でした。そんな伊勢丹につられて僕も笑いました。二人であんな風に笑ったのは本当に久しぶりでした。
 今度こそ、僕は伊勢丹の友人でありたい。そう思っています。
 黒めがねさんは、僕に東武と再度会うよう促してくれましたね。彼はきっと、僕の事を許してくれると。でも、どうしてもその勇気が僕には持てませんでした。あの神社で東武と過ごした穏やかな時間。それはとても大切な時間でした。それをあの日、自らの手で汚してしまったのです。今でも、あの泣きそうな東武の顔が忘れられません。
 東武は自分より他人の気持ちを優先して、笑顔の裏で泣く、そんな優しい子です。僕の事を許せなくても『許す』ときっと笑うでしょう。僕はそれが怖いのです。僕はもう、東武を傷つけたくないんです。二度と。
 今まで、ルミちゃんにこの手紙を届けてもらっていました。そのルミちゃんに『郵便屋はもうごめんよ』と言われてしまったので、黒めがねさんへの手紙はこれが最後になります。こんなおかしな文通を今まで続けて下さったことに感謝します。
 今までありがとうございました。これからもお元気で。さようなら、黒めがねさん。

更新日:2014-08-26 23:28:38

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僕の黒めがねさん【百貨店擬人化二次】 R-18