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 カレンが部屋を出てから、15分ほどして僕の部屋のベルが鳴った。

 「ぎい・・」、

 僕の心臓が、ドキドキと早まり、そして僕の足は勝手に走り出す。


 のぞき窓も見ずに、鍵を開けると、

 「タクミ・・」、そこには、待ち焦がれた最愛の人が立っていた。

 「ぎい・・」、靴も履かずに廊下に飛び出た僕はギイに抱きつく。

 「ただいま、タクミ・・」、強く抱きしめられた僕の後ろで、ガシャンっと

ドアの閉まる音。


 「あ・・・・、」、

 「又ですか、タクミ君?」、僕達の横で、ハイド君が呆れる。

 「すいません、鍵・・・中です。」、ギイの胸の中で、小さく謝ると、

 「もう、慣れました。」、そう言って胸ポケットから、鍵を出した。


 「はい、さっさと、中にお入りください。」ニヤリと笑いながら鍵を開ける

ハイド君に、

 「お前も、さっさと彼女のとこにでも行けよ!」、ギイが、ニヤリと笑った。


 すると、

 「彼女?・・・」、ハイド君の後ろから、低く響く声。

 「カレン・・・」、僕が引きつると、背中を向けているハイド君が天を仰いだ。

 「ギイ、また明日・・」、小さく聞こえた瞬間、ハイド君はエレベーターホールとは

逆に走り出した。

 「ハイド!!!」、それを追いかけるカレン。

 それを追いかけるカレンのSP.

 3人は、非常階段を駆け下りて消えて行った。



 「相変わらずだな、カレン・・・」、僕をひょいっと抱き上げたギイが呟く。

 「今日は、特にご機嫌斜めなんだよ・・」、僕が苦笑いをすると、

 「とりあえず、タクミを食べてからでもいいか?その話・・」、ギイは甘く僕を

見つめる。


 「・・・・・うん。」、たぶん、真っ赤になってる僕は、その胸に顔を埋める。

 SPさんに寄って開けられていたドアの中に、ギイが滑り込むと、

 「邪魔するんじゃないぞ・・」、首だけ振り返りそう言ってドアを閉めた。

 その表情は僕には見えないけど、SPさん達の緊張感を見ればきっと、鬼の

ような顔をしているんだと想像がつく。


 いつもごめんなさいね。

 僕は小さく、頭を下げた。





更新日:2014-06-29 22:01:01

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